2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the mechanism which regulates germ cell development in cooperation with transcription factors
Project/Area Number |
15K18539
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村上 和弘 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (60455368)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 転写因子 / 始原生殖細胞 / エピジェネティクス / Nanog / 胚性幹細胞 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、我が国においては晩婚化や高齢出産を要因とする少子化が喫緊の課題であり、その一つの背景として生殖細胞の不可逆的な老化による出産リスクの増加が指摘されている。生殖細胞は、受精により完全な個体を形成する能力を獲得する唯一の細胞系譜であるが、その発生を制御する詳細なメカニズムは未だ明らかにされてはいない。 そこで我々は、生体外において初期生殖細胞発生を模倣する始原生殖細胞様細胞(PGCLC)をモデルとして、特定の転写因子が生殖細胞運命を誘導する詳細な機構を明らかにすることを試みた。まず、テトラサイクリンの添加によりN末端に3xFlagが融合した候補転写因子を発現誘導できるマウス胚性幹細胞 (mESC)を樹立した。これらのmESCよりPGCLCを誘導する過程で候補転写因子を発現させ、初期PGCLCにおいて免疫沈降を行うことでゲノム上の局在領域を明らかにした。特に転写因子Nanogについては、結合するエンハンサー・プロモーター領域をルシフェラーゼアッセイ用ベクターにクローニングし、PGCLC誘導過程においてNanogがそれらのゲノム領域を直接的に制御することを示した。一方で、PGCLC誘導過程では、転写因子Sox2がNanogの働きを阻害することも明らかとなった。 また、H3K9me2・3、DNAmeのChIP-seqを行うことで、初期PGCLCの遺伝子発現を制御するエピジェネティック修飾のゲノム上の詳細な局在領域を明らにすることができた。これらのデータとエンハンサー・プロモーターを示すChIP-seqデータおよび遺伝子発現データと照らし合わせることで、初期生殖細胞発生を制御する転写因子の下流遺伝子群が明らかとなった。
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