2015 Fiscal Year Research-status Report
発生分化過程でみられる転写の振動現象のイメージング解析
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15K18543
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
村本 哲哉 東邦大学, 理学部, 講師 (10612575)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 転写 / 細胞分化 / 周期的発現 / 遺伝子発現動態 / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
周期的な振動現象は、生命システムにおける動的挙動の中でもよく観察されるものの一つであり、体節形成過程を制御する分節時計や概日時計、細胞周期など、多くの場面で重要な役割を担っている。私はこれまで、遺伝子発現動態を直接生きた細胞中で長時間計測する技術である「遺伝子発現動態計測技術」を開発し、発生分化を制御するcsaA遺伝子の「短周期発現振動」(転写のオン・オフが細胞集団で同調して約6分間隔で振動する現象)を見出してきた。しかし、同様な制御を受ける他の遺伝子など同調的振動現象の全貌は明らかとなっていない。本研究課題では、csaA遺伝子とは異なる周期性や位相をもつ遺伝子を同定することで、「短周期発現振動」の意義や周期性の重要性などの理解を目指す。本年度は、短い周期で発現振動する遺伝子を探索するために、次世代シークエンサーを用いたトランスクリプトーム解析を行った。新生RNAのみをラベルして回収することで短時間での変化を検出しやすくした結果、全遺伝子の中から27個の候補遺伝子が得られた。それらの遺伝子についてリアルタイムPCRを用いた発現の再解析を行うことで、12個の遺伝子を優先的に解析することとした。現在までに、6個以上の候補遺伝子で遺伝子発現動態を検出するための細胞株が作製できており、さらに残りの候補遺伝子の細胞株作製も順調に進んでいる。今後、これらの株を用いて短周期で同調的に活性化する遺伝子のイメージング解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短周期で活性化する候補遺伝子の絞込みが順調に終了した。また、遺伝子発現動態を計測するための細胞株の作製が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した遺伝子発現動態を計測するための細胞株を用いて、発生分化過程での遺伝子発現動態の計測を行う。これにより、振動する遺伝子の同定を行う。
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Causes of Carryover |
米国の研究グループによる研究成果発表により、当初の研究計画より適した方法がある可能性が生じた。そこで、その方法の検討した結果、年度内に完了し得ない部分が一部生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、翌年度分として請求した助成金とあわせ、米国の研究グループの研究成果から再検討した方法についての解析を行う経費に充てることとしたい。
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Research Products
(4 results)