2017 Fiscal Year Research-status Report
花芽形成過程における多機能性輸送体GTR1によるジベレリン/ジャスモン酸輸送機構
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15K18552
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 結子 (関本結子) 東京工業大学, 生命理工学研究科, 研究員 (60422557)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジャスモン酸 / ジベレリン |
Outline of Annual Research Achievements |
ジベレリンとジャスモン酸はいずれも雄しべの発達に重要であり、いずれが欠損しても雄性不稔を引き起こす。そのため、雄しべの発達の適切なタイミングでこれらの生理活性物質の供給が必要と考えられるが、その動態については明らかにされていない。申請者らは活性型ジベレリンや活性型ジャスモン酸に対する輸送活性を示し、シロイヌナズナの雄しべの発達を促す新規輸送体GTR1を見出した(Saito et al., 2015 Nature commun.)。申請者らはGTR1による植物ホルモンの輸送過程を詳しく知るために、GTR1自身の局在部位および、GTR1の輸送対象となる活性型ジベレリンおよび活性型ジャスモン酸の局在部位を明らかにすることを目的として本研究を行っている。 本年度はGTR1のホモログであるGTR2の働きにも着目した解析を行った。gtr1変異体は雄しべの伸長が不十分であることが、稔性が低下する一因となっている。この表現型に着目し、gtr1gtr2二重変異体の雄しべを形成する細胞の長さを測定したところ、gtr1gtr2ではgtr1およびgtr2変異体よりもさらに短くなっていた。また、gtr1gtr2変異体の雄しべでは、細胞の伸長は抑制されているが細胞数は野生株と同程度であることが明らかになった。これらの結果から、GTR2は雄しべの細胞の伸長に対してGTR1とredundantに機能していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度単離したgtr1gtr2は、雄しべの伸長抑制に関してgtr1より強い表現型を示すため、GTR輸送体によるジベレリンやジャスモン酸の動態を明らかにするための有用な材料となる。現在、この変異体に平成28年度に作成した局在解析用ベクターを導入し、形質転換体の作成と解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
gtr1gtr2変異体を用いて、雄しべの細胞伸長が抑制されている部位におけるジベレリンやジャスモン酸の動態を示す。また、gtr1gtr2変異体でジベレリンやジャスモン酸の局在が変化したことによる、雄しべ以外の組織(葉など)の性質の変化についても解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はgtr1gtr2の遺伝子型や表現型の解析に用いる試薬類や機器を購入したが、機器の購入費を節約できたため、残額が生じた。この残額は、得られた成果を平成30年度に学会発表するための旅費および論文投稿料として用いることを予定している。
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