2015 Fiscal Year Research-status Report
植物青色光受容体の分子内・分子間光信号伝達機構の解明
Project/Area Number |
15K18559
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡島 公司 慶應義塾大学, 理工学研究科, 助教 (20438245)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光受容体 / 構造解析 / 構造変化 / 活性調節機構 / 植物環境応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は植物の光情報伝達機構の一つ、迅速な応答を可能にしているフォトトロピン(phot)リン酸化信号カスケードの初期課程の分子内、分子間信号伝達課程の分子機構を構造学的視点、および時間的視点から明らかにすることが狙いである。シロイヌナズナ(At)やクラミドモナス(Cr)のphot分子をin vitroで調製し、生物物理学的解析を行った。 Cr_phot全長の単体での結晶化を目指し、約1000条件のスクリーニングを行った。複数条件から結晶形成がみられたため、結晶の最適化を試みた結果、微結晶を得ることが出来た。in houseの装置にて結晶の反射を測定した。しかし、結晶が小さいことと結晶性が低いことから構造解析が可能な散乱パターンの取得には至っていない。また、サンプルの分解も起きていることが確認されたため、調製方法の再検討を行っている。At_phot2全長についても、結晶化条件の検討を行っているが結晶は得られていない。At_phot2に関しては結晶化が困難なタンパク質である可能性もあり、結晶構造解析だけでなく、クライオ電子顕微鏡による構造解析を開始した。ネガティブ染色によるAt_phot2全長の観察を実施した。 シロイヌナズナphot1_LOV2-STKの変異導入ペプチドに関して、SPring-8 BL45XUにてX線小角散乱(SAXS)実験を実施し、青色光依存的な構造変化の解析をおこなった。さらに、青色光・暗条件だけでなく青色光励起状態から暗状態への時間分解解析も行った。過渡的な構造変化を示すプロファイルを得た。 Phot2のリン酸化実験における、non-RI実験系としてリン酸結合試薬を基盤にした抗体による検出法の検討を行ったが改良の必要がある。 タンパク質相互作用解析として水晶振動子微量天稟(QCM)装置のセットアップを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた、生化学解析、相互作用解析について進捗が遅れている。申請者の所属の移動(大阪府立大学から慶應義塾大学へ)により、RIの使用が容易でなくなり、生化学的解析にはnon-RIの実験系の構築が必要となった。また、当初予定であった大阪府立大学の機器の使用が困難になった為に、周波数カウンターを購入し、装置のセットアップが必要となった。 phot単体での結晶化のスクリーニングを行ってきたが、構造解析に足る結晶を得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するためには、構造情報の取得が重要であり、本年度は構造解析を中心に解析を進め、その知見を元にシグナル伝達機構を解析すべく、変異体の作成、生化学的解析を進める。 構造解析に関して、結晶化スクリーニングを引き続き行う。結晶が得られた場合、X線結晶構造解析を行う。phot-基質複合体でも同様に結晶化を検討する。 クライオ電子顕微鏡での構造解析を進める。解析はAt_phot2単体だけでなく、At_phot2-BLUS1、At_phot2-TH1複合体での解析を順次行う。 phot-基質間相互作用を検証する。phot、BLUS1、TH1を用いてpull-downやcross-linking、QCMで検証を行う。QCMは測定機器本体のセットアップはほぼ完了した。Photの相互作用解析に向けた調整をおこない、phot2-BLUS1、phot2-TH1複合体の相互作用解析(解離定数の変化や解離速度の解析)を行う。 構造情報が得られた場合は、変異導入したタンパク質を作成し、構造機能相関を検証する。さらに、高分解能での構造解析できた場合、時間分解SAXSの結果とあわせてMD-SAXS法によりダイナミクスの計算を試みる。
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Causes of Carryover |
消費税分の端数処理の不手際
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度分物品費として使用する
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Research Products
(6 results)