2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K18562
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸山 真一朗 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (50712296)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光合成 / 紅藻 / 遺伝子重複 / 進化 / 集光アンテナ装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成は地球上のほぼ全ての生命を支える最も重要な化学反応と言っても過言ではない。光合成生物は、効率よく光を集めて光合成反応を行うために様々なアンテナタンパク質(集光装置)を進化させてきたが、中でも集光アンテナ複合体(Light harvesting complex, LHC)は、十数億年前に葉緑体が誕生した後で初めて獲得された真核生物特有のタンパク質であり、これまでは多数のLHC遺伝子を持つ緑色植物を中心に研究が行われてきた。しかし、遺伝子の重複性の壁に阻まれ、集光装置遺伝子それぞれの機能や遺伝子進化を詳細に解析することは困難を極めた。 本研究では、このLHCをコードする遺伝子をゲノム中にたった3つ(うち偽遺伝子1つ)しか持たない始原的紅藻Cyanidioschyzon merolaeを用いて、LHC遺伝子の祖先的機能や進化の系譜を明らかにする目的で、遺伝子破壊株の作成を試みた。本年度中に全てのLHC遺伝子を破壊した株を得ることに成功し、ゲノム中の当該遺伝子座位が完全に破壊されていることがPCR反応を用いて確認された。生育速度の比較を行ったところ、株によって特徴的な生育パターンが見られたことから、光条件など生育環境を調整した詳細な解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、今年度の当初の目標であった遺伝子破壊株の作成まで行うことができたため、計画は順調に進展していると言って良い。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られた破壊株を用いて、様々な光環境下での生育条件の違いを比較解析し、それぞれのLHC遺伝子の機能を生育への影響という点から考察する。また、光合成装置全体としての機能の違いを検証するため、パルス変調による蛍光測定など、光合成化学反応の特性を物理化学的に解析する。これらの結果をもとに、葉緑体誕生から植物界多様化における集光戦略の進化を概括する。
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Causes of Carryover |
遺伝子破壊株の作成と維持に当初必要と考えられていた大型の培養設備等購入や旅費に関しては、申請者の就職による異動や共同研究者らの協力と援助により既存の設備を融通し合うことができたことなどの理由で計画通りの物品購入を行わずに進める必要が生じたため、当該予算を次年度使用額として申請することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度における測定装置や培養装置、共同研究や成果報告のための旅費およびその他費用として使用する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Gene loss and error-prone RNA editing in the mitochondrion of Perkinsela, an endosymbiotic kinetoplastid2015
Author(s)
David V, Flegontov P, Gerasimov E, Tanifuji G, Hashimi H, Logacheva M, Maruyama S, Onodera NT, Gray MW, Archibald JM, Lukes J
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Journal Title
MBio
Volume: 6
Pages: e01498-15
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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