2015 Fiscal Year Research-status Report
マウス卵胞成長機構における卵巣間質細胞群の生物学的役割
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15K18568
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
青山 雅人 奈良女子大学, 理学部, 非常勤研究員 (60634813)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マウス / 卵巣間質細胞 / トランスクリプトーム / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 次世代シーケンサーを用いたRNA-seq:RNA-seqはイルミナ社製のHiSeqTM1500を用いて行った。実験には性周期がない3週齢のマウスを用いた。卵巣顆粒膜、間質細胞は申請者所属研究室独自の手法で分離(Itami et al. Reprod Biol Endocrinol 9, 159, 2011)した。間質細胞試料と顆粒膜細胞試料でそれぞれ58 M リードのシーケンシングを行った。 (2) バイオインフォマティクス解析:(1)で得られたショートリードシーケンスデータをリシーケンスにより解析し、間質細胞特異的遺伝子候補を選抜した。マウスゲノムシーケンス(mm10)へのマッピングとfragments per kilo base per mega reads (FPKM) の評価は、それぞれ、tophat (v2.1.0) とcufflinks (v2.0.10) で行った。ショートリード全体の80.98%がゲノム上にマップでき、そのうち、12000遺伝子のFPKM値が0.1より高かった。それらのうちの258遺伝子が間質細胞において、顆粒膜細胞と比較して、2倍以上の発現レベルであった。 (3) リアルタイムPCR法による候補遺伝子の再検証:(2)の解析結果で得られた候補遺伝子が本当に間質細胞特異的に発現しているのかどうかを明らかにするために、顆粒膜細胞、および、間質細胞試料間でのリアルタイムPCR法による発現比較を行った。この時点で、対象遺伝子が間質細胞試料において顆粒膜細胞試料よりも発現が低い場合は、以降の実験対象から除外した。リアルタイムPCR解析から、FPKM値の高い遺伝子の中から選択した19の遺伝子が間質細胞で顕著に発現していた。これらの遺伝子は細胞外基質系遺伝子、細胞成長制御系遺伝子、ケモカイン系遺伝子の3つの主要なグループに分類された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画は全て予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、平成28年度では以下の実験を行う。 (1) 間質特異的発現遺伝子もしくは分子の決定:平成27年度の結果から、間質細胞特異的な発現が確定した標的分子について、組織切片を用いて各標的分子の局在解析を行う。その際、受容体や細胞外基質に関しては蛍光免疫染色法で、分泌タンパクなどに関しては蛍光in situ hybridization法で局在解析を行い、この結果から最終的な間質特異的発現分子を決定する。この時点で特異的発現が確認された分子に関しては、3週齢の卵巣における時期特異的発現が確定する。そこで、別の週齢においても併せて局在解析を行うことで、対象の分子が全週齢において普遍的に発現しているのか、時期特異的な発現なのかを見極める。この時点で、特異的発現が確定した分子に、別組織・器官などで既知の機能がある場合は、その機能別に幾つかの系統に分類する。 (2) 多重免疫染色による間質細胞特異的分子の発現パターン解析:(1)で、その既知の機能を指標に幾つかの系統に分類した別の系統の分子を対象に(例えば、細胞外基質系と細胞成長制御系で)蛍光in situ hybridizationや免疫染色での多重染色を行い、同一の細胞に複数の遺伝子が発現しているのか、それとも別々の細胞に発現しているのかを決定する。これにより、各細胞群のマーカーと成り得る遺伝子を決定する、すなわち、間質細胞種のサブタイプの有無やその種類の数が決定される。
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Research Products
(3 results)