2017 Fiscal Year Annual Research Report
Aiming at elucidating the origin of pituitary hormone (Aproach from MSH receptor)
Project/Area Number |
15K18569
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 勇喜 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (80736421)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 体色調節ホルモン / 無脊椎動物 / Gタンパク質共役型受容体 / 脳下垂体ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
無脊椎動物のゲノムデータベースから、脊椎動物のMCRに最も高い相同性を示す哺乳類型受容体をカキ(Oy-MCRLa, Oy-MCRLb, Oy-MCRLc, Oy-MCRLd)およびカタユウレイボヤ(Ci-MCRL)から見出した。そこで、複数の候補を見出したカキからMCRLのクローニングを試みた。黒色素が多く認められる外套膜由来cDNAから、Oy-MCRLb、Oy-MCRLcの部分配列およびOy-MCRLdの全翻訳領域を決定した。そこで、Oy-MCRLdが脊椎動物MCRの対応遺伝子であるかを明らかにするために、Oy-MCRLdにFlagタグを付加した発現ベクターをHEK293T細胞に強制発現させ、受容体の機能解析を行った。脊椎動物のMCRサブタイプは全てGs共役であり、cAMP濃度を上昇させる。その共通性を基に魚類MSHで刺激したが、cAMP濃度の上昇は認められなかった。次に、進化の過程で、Gタンパク質選択性が変化している可能性を考慮し、細胞内Ca2+動員能測定も行ったが同じく活性は見られなかった。そこで、Oy-MCRLdはMCRの一般的な細胞内シグナル以外の分子が活性化されている可能性を想定し、GPCRにリガンドが結合した後に細胞膜上のGPCRが細胞内に引き込まれる現象である、受容体インターナリゼーション解析を行った。その結果、魚類MSH刺激により、細胞膜上の受容体が減衰し、細胞内に顆粒状の受容体が認められた。加えて、MSHよりもMCRに対して親和性が低いとされるDes-AC-α-MSHでは、その顆粒状受容体が認められる傾向がさらに減少した。即ち、Oy-MCRLdは脊椎動物MCRの相同遺伝子であり、その細胞内シグナルは独自である可能性が示唆された。本成果は、脳下垂体の起源解明の足掛かりとなるものであり、無脊椎動物を含めたMSHシステムの包括的な理解に繋がることが期待される。
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