2015 Fiscal Year Research-status Report
新奇性はどうやって生まれるのか?ゲノム編集によるアプローチ
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15K18586
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
越川 滋行 京都大学, 白眉センター, 助教 (30714498)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 進化発生学 / ショウジョウバエ / 模様 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
翅に水玉模様をもつミズタマショウジョウバエを用いて、模様形成に必要な遺伝子群を同定し、遺伝子の強制発現、RNA干渉による発現抑制、またはCRISPR/Cas9法によるゲノム編集技術の導入を試み、それらを組み合わせて用いることで、各遺伝子の模様形成に果たす役割と、遺伝子相互の調節関係を明らかにすることを試みている。模様形成の一般的なロジックを理解するとともに、近縁種との比較により、模様形成システムがどのように進化して来たのかを明らかにすることを目的としている。 まず本研究の主要テーマと関連して、ミズタマショウジョウバエの模様の進化と新奇性の起源に関する論考を執筆、公表した。 ミズタマショウジョウバエを模様形成研究のモデルシステムとするためには、様々な実験手法を開発、適用する必要がある。そのために、ミズタマショウジョウバエの飼育条件を検討した。また翅の着色の発達を画像解析により定量的に測定する方法を確立し、野生型における着色の時系列変化を記録した。これにより、変異体作出後に野生型と比較することにより、小さな表現型の変化も漏らさずに捉える事ができるようになった。 メラニン合成系の遺伝子群を個別にクローニングし、プローブを作成してin situハイブリダイゼーションを行い、蛹の翅での発現状況を明らかにした。まだテストしていない遺伝子について解析を継続している。CRISPR/Cas9法について、キイロショウジョウバエで用いられている方法を参考にし、試験的な実験を行っている。方法の有効性を簡便に示すため、X染色体上の遺伝子をターゲットとしている。引き続きゲノム編集技術の本種への適用を進め、トランスジェニックと組み合わせる事で単一の遺伝子の機能のみならず遺伝子の調節関係まで含めて解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の予定通り進行している。CRISPR/Cas9法を本種において安定的に行う方法は確立していないが、準備は順調であり目処はつきつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画に従って、着実に研究を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
CRISPR/Cas9の実験がまだ条件検討の段階であり、本格的に系統を作出していくための費用を次年度に使用する事としたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度よりも人件費(実験補助)に支出する金額を増やし、研究を加速する。
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Research Products
(8 results)