2015 Fiscal Year Research-status Report
マメ科植物の分布域拡大に伴う共生根粒菌ゲノムの伝播と進化
Project/Area Number |
15K18595
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高梨 功次郎 信州大学, 先鋭領域融合研究群山岳科学研究所, 助教(特定雇用) (10632119)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物―微生物共生 / 根粒菌 / 共生アイランド / 水平伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
マメ科植物―根粒菌共生系の宿主特異性の変遷を調べるために、マメ科高山植物の共生根粒菌のゲノム解析を行った。今年度はまず、これまでに単離した日本国内の山域5地点に由来するオヤマノエンドウ (Oxytropis japonica) およびイワオウギ (Hedysarum vicioides) の共生根粒菌から、それぞれの宿主と共生する代表根粒菌を1株ずつ選抜し、PacBio RS II によるゲノム配列の取得を行った。これまでに MiSeq によるシークエンシングで得られていたコンティグも用いてアセンブリした結果、両宿主に共生する根粒菌は共生遺伝子群を染色体上ではなくプラスミドに有していることが明らかとなった。また、染色体は宿主ごとではなく採取地域ごとに配列類似性を有していることが明らかとなった。続いて、カナダ北極圏で単離されたOxytropis arctobia の共生根粒菌のゲノム配列をPacBio RS IIで取得した。nod クラスターおよび、nif/fixクラスターの相同性は、日本の根粒菌と高い相同性を有していたが、その他の共生プラスミドの領域に関しては低い相同性を示した。オヤマノエンドウ属は中央アジアに起原し、ロシア東部に生育するO. nigresence がベーリング海峡を横断したものがO. arctobia、カムチャッカから日本に南下したものがO. japonicaとそれぞれ推測されている。そのため、O. arctobiaとO. japonicaの共生根粒菌の共生プラスミドの保存性は高いと推測していたが、必ずしもそうではないことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オヤマノエンドウおよびイワオウギのゲノム配列もMiSeqを用いて取得し、Simple Sequence Repeat (SSR) マーカーの探索を行ったが、まだ系統地理学的解析に用いるマーカーを絞り込めていない。マーカーの整備を急いで行う。それ以外に関しては概ね当初の計画を達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな遅れはないため、当初の計画通りに研究を進める予定である。特に注力するのは、国内のオヤマノエンドウ属の系統分類と、それらの共生根粒菌のゲノム解析である。平成27年度に観察された、共生に関するゲノム構造の種特異性が保存されている範囲を調べる。
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