2018 Fiscal Year Research-status Report
セミの抜け殻から集団構造と大発生のメカニズムを探る
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15K18603
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神戸 崇 北海道大学, 農学研究院, 専門研究員 (40648739)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セミ / 発生量 / 脱皮殻 / マイクロサテライト |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度と同様に3地点の調査地内の広葉樹林と針葉樹(トドマツ)林(計6カ所)で春にエゾハルゼミ、夏にコエゾゼミの脱皮殻の採集と発生量の調査を行った。DNA用の脱皮殻のサンプリングは昨年から始めた改良した方法で行った。調査地のうち1地点(2カ所)では秋の台風で大規模な風倒被害が発生し、コエゾゼミの発生量調査は実施できなかった。エゾハルゼミの発生量は平年並みで、コエゾゼミの発生量はトドマツ林の1カ所以外は今年も少なかった。2015年から2018年の4年間の発生量の変動を比較すると、例年コエゾゼミの発生量が多い1カ所のトドマツ林(植林)では、エゾハルゼミとコエゾゼミの年次変動パターンが同調していることがわかった。どちらの種の幼虫もトドマツの根を利用しているとすると、種間の競合は無く、気象条件などの共通の要因によって変動している可能性を示唆している。一方、6カ所のエゾハルゼミの年次変動パターンには同調性は見られなかった。同地点の樹種間で比較するとエゾハルゼミの平均発生量は針葉樹林の方が多かった。発生量に影響する要因を明らかにするには今後も観測を継続し、他の地点でも調査することが必要である。DNA用の脱皮殻サンプルは、エゾハルゼミは4カ所で、コエゾゼミは3カ所で十分な数を採集できた。引き続き、6カ所の地温の測定データを記録中である。2017年の6地点のエゾハルゼミ脱皮殻についてはDNA抽出とマイクロサテライトの遺伝子型決定を進めた。本研究課題で開発したセミ脱皮殻からのDNA採取法を北海道のセミ7種に適用してその実用性について学会で発表し、論文投稿の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文投稿のための追加実験に時間がかかり、マイクロサテライトの遺伝子型決定があまり進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA解析に使用できるサンプルが2年分しかないため、本研究の期間を1年延長した。春から夏にかけては昨年度と同様に定点調査地でエゾハルゼミとコエゾゼミの脱皮殻の採集と発生量調査を行い、サンプルと発生量のデータを蓄積する。脱皮殻サンプルからのDNA抽出とマイクロサテライトの遺伝子型決定を進め、成果を学会で発表する。
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Causes of Carryover |
理由:他の実験に時間がかかり、サンプルのマイクロサテライト解析があまり進まなかったため。また、研究期間を1年延長し、サンプルやデータを蓄積するための調査費として必要な分を確保した。 使用計画:DNA抽出やPCR、電気泳動に必要な消耗品の購入や調査費、学会参加費、論文投稿料等に使用する。
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