2015 Fiscal Year Research-status Report
竹食に特化したジェントルキツネザル:シアン化物解毒作用をもつ腸内細菌の特定
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15K18608
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 晶子 京都大学, 霊長類研究所, その他 (10646665)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 採食生態 / 霊長類 / 消化 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
マダガスカル東部に位置するラヌマファナ国立公園にて野外調査をおこなった。人付けされた野生ジェントルキツネザル3種(ハイイロジェントルキツネザル Hapalemur griseus、キンイロジェントルキツネザル H. aureus、ヒロバナジェントルキツネザル Prolemur simus)の群れを追跡し、採食内容や遊動域を確認した。採取許可証の関係で今回糞試料を持ち出すことはできなかったが、実際に対象種を追跡して糞を採取が可能であること、また採取方法が適切なものであることを確認することができた。許可証が下り次第、試料収集を開始する手筈を整えるため共同研究者との打ち合わせもおこなった。 野生個体との比較対象として、有毒な竹を食べたことのない飼育個体の腸内細菌を調べることになっている。恩賜上野動物園と共同研究提携を結び、飼育ハイイロジェントルキツネザル2個体を対象に、現在試料採取をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査をおこない、行動データの取り方および試料採取方法を確認した。関連省庁からの許可書取得が間に合わなかったため、当該年度中に生物試料を持ち出すことはかなわなかった。しかし、試料の分析は当初から次年度以降に予定されていたため、計画全体において大幅な予定変更は生じていない。 以上のことから、総合的には本年度の研究はおおむね順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ラヌマファナ国立公園にて野外調査を実施する。渡航は2016年7月~8月を予定している。申請者が現地にいない時には共同研究者に試料を採取してもらえることになったため、より確実に試料採取ができるようになった。許可が下り次第、採取した糞試料を日本に持ちだし次世代シークエンサーを用いて腸内細菌解析をおこなう。並行して、ジャイアントバンブー片のシアン化物濃度も測定する。
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Causes of Carryover |
高額な渡航費が必要になることが見込まれたことから前倒し請求をおこなった。しかしその後、別資金を受けての渡航が可能となり、当該助成金より旅費を支出する必要がなくなったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の渡航費として使用する。これにより野外調査の予定を1ヶ月伸ばすことが可能となり、より多くのデータや試料が得られると期待される。
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