2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K18612
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
八木 光晴 長崎大学, 水産学部, 助教 (90605734)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動物プランクトン群集 / エネルギー代謝量 / サイズスペクトル / 海洋物理環境 / サイズの生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二次生産量に資する動物プランクトンの群集レベルでのエネルギー代謝機能と、その律速要因の解明を目指すものである。初年度には次の3点を行うことを計画していた。1.季節、2.緯度、3、深度(予備実験)の3つの多角的アプローチから、エネルギー代謝速度、体サイズ・スペクトル、そして物理環境測定を実施する予定であった。初めに上記の事項を実施できる体制を整える為に、航行中であっても常時、動物プランクトンを採集できるシステムを構築した。従来、動物プランクトンのサンプリングは利用する船舶の行き足を止めて行わなければならず、観測ポイントや実施時間が限られていたが、本システムにより航行中でも常時サンプリングの実施が可能となり、日本近海の広範囲を探索でき得るものである。本システムを用いた成果は以下の通りである。 1.季節――春季から冬季にかけて東シナ海・五島灘における動物プランクトン群集のエネルギー代謝速度を測定した。エネルギー代謝速度は水温と体サイズ・スペクトルに依存していることが明らかとなり、作業仮説を裏付けるものであった。また、クロロフィル量の季節変化も確認した。 2.緯度――富山湾沖から琉球列島周辺海域までの緯度変化により上記のサンプリング装置を使用して動物プランクトンを採集した。詳細は解析中であるが、水温と体サイズ・スペクトルの変化と対応してエネルギー代謝速度が変化している知見が得られた。また、日中と夜間とで同じ海域でも体サイズ・スペクトルが大きく異なることも明らかとなった。 3.深度(予備実験)――富山湾にて予備的に水深200m以深とそれよりも浅い水深帯での動物プランクトンを採集し、体サイズ・スペクトルを調べた。その結果、両者は大きく異なり、群集エネルギー代謝速度も異なることが示唆された。また、深海域の水温情報はエネルギー代謝に重要であると判断したのでその時系列変化も明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
船舶が航走中でも動物プランクトン採集が可能とするシステムが立ち上がり、体サイズ・スペクトル・エネルギー代謝量、そして物理環境の測定が随時可能となった。また、本システムを用いて上記の事項の測定を継続している。加えて、本年度内に深海域における水温の時系列変化を捉えるために海底に水温ロガーを設置した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は当初の計画通りに実施する。今年度中に深海域の動物プランクトン群集のエネルギー代謝量、体サイズ・スペクトル、物理環境を明らかにする。また、深海域に設置した水温ロガーを揚収しその時系列変化を明らかにする。加えて、動物プランクトンのエネルギー代謝量と水温の関係についても明らかにする。
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Causes of Carryover |
機器が当初の計画より安価であったこと、またフィールド調査が悪天候の為実施できないことがあったことが理由として挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度、実施できなかったフィールド調査ならびに解析に必要な人件費・出張費・消耗品費に使用する予定です。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Duration of migration and reproduction in males is dependent on energy reserve in a fish forming spawning aggregations2015
Author(s)
Yuuki Kawabata, Atsushi Nanami, Ken Yamamoto, Taku Sato, Koichi Kuwahara, Megumi Koga, Kazuhiro Kawaguchi, Tomofumi Yamaguchi, Itaru Ohta, Ryo Kawabe, Gregory N. Nishihara, Mitsuharu Yagi, Kiyoshi Soyano
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Journal Title
Marine Ecology Progress Series
Volume: 534
Pages: 149-161
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Influence of the Kuroshio on mesoscale convective systems in the Baiu frontal zone over the East China Sea2015
Author(s)
Kazutoshi Sato, Atsuyoshi Manda, Qoosaku Moteki, Kensuke K. Komatsu, Koto Ogata, Hatsumi Nishikawa, Miki Oshika, Yuriko Otomi, Shiori Kunoki, Hisao Kanehara, Takashi Aoshima, Kenichi Shimizu, Jun Uchida, Masako Shimoda, Mitsuharu Yagi, Shoshiro Monobe, Yoshihiro Tachibana
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Journal Title
Monthly Weather Review
Volume: 144
Pages: 1017-1033
DOI
Peer Reviewed
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