2017 Fiscal Year Annual Research Report
Physiological polytypism of hemodynamics in highlanders - comparison between Tibetan, Andean and Japanese people-
Project/Area Number |
15K18623
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西村 貴孝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (80713148)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高地適応 / 生理的多型性 / 生理人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
高地に進出・定住した現生人類では、生体内の酸素レベルを維持するため独自に循環機能を適応させた。中でも遺伝的適応によりヘモグロビン増加を抑制するとされるチベット族、換気亢進等の生理的適応をしたアンデス族らが代表的である。そのような高地適応をした集団においても、生理的特性に個人差があるのか、またあるとすればその要因はなんなのか等の議論は十分ではなかった。そこで本研究では、高地集団にも生理的多様性の有無とその要因を明らかにするために、ボリビア共和国のアンデス族とネパールのチベット族において調査を実施した。 ボリビアにおいて、若年成人男女約100名の生理データを取得した。ヘモグロビンは男性が女性よりも高かった。さらにSpO2と諸生理値との関連を検討したところ、男性ではSpO2と心拍数に負の相関、拡張期血圧に負の相関が見られた。一方で女性では、SpO2と手指温度に正の相関、拡張期血圧と負の相関傾向が見られた。これは末梢の循環が良いとSpO2が高値であると考えられた。しかし、男性でのみSpO2と心拍数に関連が見られたことは、男女間で高地適応の様態が異なる可能性を示唆する。さらにネパールのチベット族においても調査を実施したところ、やはりチベット族においても生理値には多様性があり、ヘモグロビンが高値を示すものもいた。 以上の結果から、高地集団にも生理的多様性があり、適応的でない者も存在すると考えられた。その多様性には遺伝要因も関与していることが考えられるため、これまでに報告のない新規の遺伝子多型も含めて、全ゲノム領域の解析を実施していく。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] ボリビア高地集団における循環動態の適応とその性差について2017
Author(s)
西村 貴孝, 大西 真由美, 西原 三佳Juan Ugarte, 安河内 彦輝, 福田 英輝, 安部 恵代, 有馬 和彦, 富田 義人, 本井 碧, 綿貫 茂喜, 青柳 潔.
Organizer
日本生理人類学会第75 回大会