2016 Fiscal Year Research-status Report
トウガラシ遺伝資源を利用した低辛味カプサイシノイド類似物質の成分育種学研究
Project/Area Number |
15K18640
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 義行 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (20704480)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | トウガラシ / 辛味成分 / カプサイシン / カプシノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
トウガラシの辛味成分カプサイシノイドは脂肪代謝促進作用などをもつ健康機能性成分として注目されているが、激しい辛味のために摂取量が制限されるという問題点がある。近年、申請者らの研究グループは辛味がほとんどないながらも同様の生理活性を有するカプサイシノイド類似物質(カプシノイド・カプシコニノイド)をトウガラシから発見した。本研究では、申請者が収集してきたトウガラシ遺伝資源を利用して、低辛味カプサイシノイド類似物質の生合成を制御する因子を明らかにすることを目的としている。 <28年度研究概要> ①新規の変異型pAMTアリルの解析 カプシノイド生合成にはpAMT遺伝子の機能低下が関与していることが分かっている。28年度は、昨年度見出したpamt系統の解析を行い、その機能低下の原因が短い挿入配列やトランスポゾン挿入であることを明らかにした。 ②カプサイシノイド類の含量増強に関わる要因の解析 高カプサイシノイド含量を示す系統の解析を行なった。通常トウガラシ果実では胎座組織でのみカプサイシノイドが合成されるのに対して、高含量系統では,胎座組織だけでなく果皮組織でも生合成されており、これがカプサイシノイドの高含量化をもたらしている要因であることを示した。このような高含量系統にpamt変異を導入することでカプシノイド含量の増強が期待できる。さらにRNA-seqを行い、高含量系統で強く発現する遺伝子をスクリーニングした。 ③低辛味成分に関するQTL解析 低辛味成分を高含量で含む系統と低含量系統との交雑後代を用いて、QTL解析を行ない、カプシノイドとカプシコニノイド含量を制御するQTLを複数検出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の機能欠損型pamtアリルだけでなく、機能型と機能欠損型の中間的な活性を示すpAMTアリルを見出すことができた。またカプサイシノイド類の含量増強には果皮における生合成が重要であることを示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
新規pAMTアリルを有するトウガラシ系統については、分離集団の解析により、pAMTアリルがカプサイシノイドおよび類似成分の含量に及ぼす影響を明らかにする。RNA-seqでスクリーニングした遺伝子については、果実発達段階別や部位別の詳細な発現解析を行い、そのカプサイシノイド類生合成への関与を検証する。
|
Research Products
(6 results)