2015 Fiscal Year Research-status Report
カンキツのゲノム情報を利用したわい化関連遺伝子座の同定
Project/Area Number |
15K18643
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
後藤 新悟 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門カンキツ研究領域, 研究員 (60433215)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カンキツ / わい化 / ゲノム / マイクロアレイ / DNAマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではカラタチとヒリュウをマイクロアレイによって発現プロファイルを比較し、わい化関連遺伝子候補を特定するとともに、カラタチとウンリュウのゲノムワイドな遺伝子型を比較し、ウンリュウ特異的ホモ領域、すなわち、わい化関連候補領域を特定し、両者が重なり合った領域をを同定することによってわい化関連遺伝子座を明らかにすることを目標としている。 今年度はカラタチとウンリュウのゲノムワイドなSSRマーカーを用いた遺伝子型解析によるウンリュウ特異的ホモ化領域の特定、 カラタチとヒリュウの発現プロファイル比較によるわい化関連遺伝子候補の特定を計画していた。 ゲノムワイドなSSRマーカーによる遺伝子型解析の結果、ウンリュウ特異的にホモ化している17の遺伝子座を特定することができた。また、平成26年度の7月、8月、9月にカラタチとヒリュウのサンプリングを行いRNA抽出を進めていたが、今年度はそのサンプルを供試し、マイクロアレイ解析を行い、わい化関連遺伝子候補の探索を行った。カラタチとヒリュウを比較し、ヒリュウにおいて7月、8月、9月に共通し、発現差2倍以上、t検定p<0.05の遺伝子を16個同定することができた。また同様に、ヒリュウにおいて発現差0.5倍以下、t検定p<0.05の遺伝子を10個同定することができた。ヒリュウにおいて発現差2倍以上の16遺伝子のなかにはSHP1ホモログ遺伝子が3個含まれており、発現差は17倍から162倍であった。この遺伝子はシロイヌナズナにリグニン化に関係していることが報告されており、カンキツにおけるわい化との関係している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は計画通り、ウンリュウ特異的ホモ化領域を同定することができ、マイクロアレイ解析から、ヒリュウにおいて発現変動しているわい化関連候補遺伝子を同定することができた。しかし、マイクロアレイ解析の結果から、ヒリュウにおいて、わい化関連候補遺伝子として発現比2倍以上の遺伝子が16個、発現比0.5倍以下の遺伝子が10個同定されたが、現段階でのわい化関連候補遺伝子としては数が少なすぎる可能性がある。そのため当初計画していたゲノム上へのわい化関連候補遺伝子マッピングを保留にした。今回のマイクロアレイ解析では7月、8月、9月にサンプリングした枝をもちいたが、カラタチとヒリュウにおいてこの期間では枝は伸長するがその速度は小さくなる。そのため、わい化に関連する遺伝子の発現変動を検出できない可能性がある。そこで計画を変更し、枝の伸長速度がもっとも大きくなる4月、5月のサンプルをもちいてマイクロアレイ解析を行う必要がある。その準備として、本年度はすでに4月、5月のカラタチとヒリュウの枝のサンプリングを行い、RNA抽出の準備を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は計画を一部変更し、カラタチとヒリュウの4月、5月のサンプルをもちいて、マイクロアレイ解析を行い、再度、わい化関連候補遺伝子の同定を行う。そこで同定された候補遺伝子をゲノム上にマッピングし、ウンリュウ特異的ホモ化領域と共通するゲノム領域をわい化候補領域として特定する。この領域に存在しているわい化関連候補遺伝子近傍にDNAマーカーを設計し、わい化遺伝子座の同定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度にはマイクロアレイ解析によって同定したわい化関連候補遺伝子についてリアルタイムPCRによって再現性の確認を行う予定であったが、計画を変更し、平成28年度に再度マイクロアレイ解析を行いわい化関連候補遺伝子の同定を行う予定である。そのため、平成28年度にリアルタイムPCRをおこなうために、その試薬代として予算を繰り越したため次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロアレイ解析によって同定したわい化関連遺伝子の再現性についてリアルタイムPCRによって確認を行う予定としている。そのため114千円をリアルタイムPCRの試薬代として計上する。
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