2016 Fiscal Year Research-status Report
Interspecific analysis of stabilization mechanism of a transcription factor in response to drought and heat stresses
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15K18652
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝井 順哉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (20469753)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物 / 高温ストレス / 転写因子 / 翻訳後制御 / リン酸化 / 安定性制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、高温や乾燥で安定化し下流遺伝子の転写を活性化するシロイヌナズナの転写因子DREB2Aについて、通常時の不安定化、およびストレスに応答した安定化に関するドメイン解析を行った。通常条件下でのDREB2Aの不安定化には、既知の負の活性調節ドメイン(Negative Regulatory Domain, NRD)が機能することがすでに明らかにされているが、解析の結果、NRDのリン酸化によりDREB2Aの安定性が低下する一方で、DREB2Aの高温ストレスに応答した安定化には、NRDのリン酸化に依存する経路と依存しない経路が存在することが示唆された。 本年度は第一に、通常条件におけるNRDのリン酸化に依存した経路の解析を行った。まずin vitroリン酸化系を確立し、リン酸化酵素の性質を調べた。阻害剤実験から、NRDのリン酸化を行うキナーゼファミリーを推定した。さらにin vivoでの阻害剤実験から、実際にこのキナーゼファミリーによるリン酸化がDREB2Aの安定性を低下させている可能性を見出した。 第二に、NRDのリン酸化に依存しない経路の解析を行った。通常条件でのDREB2A分解には、NRDの他にDNA結合ドメインも機能していることが明らかになった一方、これらのドメインを介した分解には、転写活性化ドメインを含むカルボキシル末端側領域が必要であることが明らかになった。高温による安定化はNRD、DNA結合ドメインを除いても起こったことから、高温のシグナルは、カルボキシル末端側領域が関与する分解系にも伝わっていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NRDのリン酸化制御に関して、キナーゼファミリーの特定が進んだ。一方、ドメイン解析の結果から、NRDに加えてカルボキシル末端側領域の重要性が明らかになった。当初の目的通り、DREB2Aの安定化を介した高温シグナル伝達の上流の解析が進んだ他、通常時における分解制御に関わる分子機構も明らかになってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
DREB2A内のNRDのリン酸化に関わるキナーゼファミリーが明らかになってきたので、今後はキナーゼの特定を目指すとともに、高温でリン酸化が起こらなくなる機構について解明を進める。一方、高温によって安定化する最小断片がほぼ決まったので、この断片を使って高温による安定化に関わるシグナルの特定と、この経路を介した分解に関わる分子実態の解明を目指す。また、イネやダイズを用い、これらの現象の一般性を検証する。
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Causes of Carryover |
出張旅費のサポートが得られたため、支出の必要がなくなった。また、推奨量より少量の試薬を用いることで物品費の節減が図れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
DREB2Aのリン酸化解析のために、放射性同位体や阻害剤、イムノブロット関連試薬を購入する。
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Research Products
(3 results)