2015 Fiscal Year Research-status Report
生物防除微生物由来のスーパーオキシド生成エリシターの探索とその作用機構
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15K18653
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 育男 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (70743102)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物防除微生物 / エリシター / スーパーオキシド |
Outline of Annual Research Achievements |
生物防除微生物であるPaenibacillus 属細菌2菌株が有するトマト植物体の抵抗性誘導機構の作用機作を解明する目的で、本年度は同細菌株由来のタンパク質または低分子化合物を標的として、スーパーオキシド(O2-)生成エリシターの単離・精製を試みた。 滅菌したトマト根を添加した培地で細菌株を培養し、培養ろ液画分と菌体画分を回収した。さらに菌体画分については、菌体破砕後に遠心分離により、細胞質画分と細胞膜壁画分に分画した。これらの画分をトマトリーフディスクに添加し、O2-生成を化学発光試薬を用いて測定したところ、いずれの画分からもリーフディスクのO2-生成誘導活性が認められた。いずれの画分もプロテイナーゼKの処理によりO2-生成誘導活性が低下したことから、O2-生成エリシターはタンパク質性の物質であることが示唆された。このうち、植物体に直接接触作用すると考えられる培養ろ液画分からのエリシタータンパク質の同定を試みた。同画分を透析膜に入れ、ポリエチレングリコールにより脱水濃縮後、脱イオン水で透析したところ、O2-生成誘導活性が上昇したことから、エリシタータンパク質は分子量10kDa以上であることが示唆された。次にエリシターの精製を行うため、陽イオン交換、陰イオン交換および疎水クロマトグラフィーカラムを用いて溶出液を分画したが、いずれのカラムクロマトグラフィーを用いた場合にも、活性画分が検出されなかった。このことから、培養ろ液画分のエリシタータンパク質は、不安定であるか、複数のタンパク質によってO2-生成誘導活性を発現する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
供試菌株の培養ろ液画分、細胞質画分、細胞膜・壁画分のいずれからも、トマトリーフディスクを用いてO2-生成活性を検出することに成功し、さらにエリシターがタンパク質性物質であることを明らかにした。当該年度は、培養ろ液画分からのエリシターの精製を試みたが、カラムクロマトグラフィーでの溶出の過程で活性が失われ、目標であったエリシターの精製には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
エリシタータンパク質が不安定である可能性を考え、各種タンパク質安定化剤(還元剤、プロテアーゼ阻害剤、グリセロール等)を、使用する緩衝液に添加して、精製を試みる。また、培養ろ液画分以外の細胞質画分や細胞膜・壁画分からもエリシターの精製にも新たに取り組む。
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Causes of Carryover |
当該年度の予算に計上していた吸光プレートリーダーは、別予算で入手した機器を利用できることとなったため、購入しなかった。その代わりに、エリシター活性の検出に必要な化学発光試薬や精製に必要な消耗品が当初よりも多く必要になったため、これらの購入に充てた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
精製エリシターの病害抵抗性誘導活性の指標となるファイトアレキシンの蓄積量を調査するための高速液体クロマトグラフィー装置の構成ユニットを購入する。
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