2015 Fiscal Year Research-status Report
微生物マイクロハビタットとしての土壌団粒微小環境の解明
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15K18659
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長尾 眞希 (浅野眞希) 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80453538)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 土壌団粒 / 土壌有機物 / 有機無機相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌微生物の機能発現は、土壌団粒が形成する孔隙の大きさ、好気・嫌気条件、利用可能な養分の有無などの、微生物の微小生息域(マイクロハビタット)の環境状態に影響されるが、土壌団粒中の微小領域について知見が乏しい。そこで本研究は、土壌微生物の生態や微生物活動によって駆動される土壌中の物質循環の解明や、微生物機能を用いた技術応用発展をめざし、土壌団粒中の微生物のマイクロハビタットの環境解明を目的とした。 平成27年度は、4種類の異なるタイプの土壌から、微小団粒を分画し、以下の項目について、固体分析を行った。 (1)微小団粒を形成する有機物と無機物の立体構造の解析 (2)土壌団粒中に生息する微生物生息部位の特定 (3)土壌団粒微小領域の元素分析とその化学状態のマッピング その結果、火山灰土壌(黒ボク土)と非火山灰性土壌では、団粒の物理的な安定性が異なり、粘土鉱物や金属イオンなどの無機成分の組成含量が異なることから、団粒の立体構造や、元素分布に違いがあることが示された。また、超音波分散を用いた粒径分画の結果、土壌団粒のサイズによって有機物に対する微生物の影響が異なることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画のうち、液中原子間力顕微鏡による団粒の立体構造観察の代わりとして、より新規性が高いと考えられる放射光を用いたトモグラフィー分析による三次元構造解析を行った。その他の項目についてはおおむね順調に着手し継続中である。STXM-NEXAFSについては当初計画の4種類の土壌について分析が終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)団粒微小領域中の微生物生息部位の特定、団粒の立体構造の解析、土壌団粒微小領域内の元素分布とその化学状態のマッピングについて、放射光分析を用いて継続する。 (2)土壌鉱物と微生物、有機物の空間分布の関係:微小領域に分布する粘土鉱物の結晶構造について、TEMを用いた電子線回折によって分析を行う。 (3)インキュベーションを行った土壌団粒について、上記(1)の手法を用いて微生物に利用された有機物の存在部位と形態を明らかにするとともに、土壌有機物の量的変化についても明らかにする。
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Causes of Carryover |
予定していた液中原子間力顕微鏡分析を行わず、より、目的に対して効果的と考えられたトモグラフィー分析を行った。トモグラフィー分析は、機器使用料金が発生しなかったため、液中原子間力顕微鏡使用予定料金分として予定していた金額を平成28年に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に液中原子間力顕微鏡分析を行う予定であり、機器使用料金として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)