2016 Fiscal Year Research-status Report
微生物マイクロハビタットとしての土壌団粒微小環境の解明
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15K18659
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長尾 眞希 (浅野眞希) 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80453538)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 土壌団粒 / 土壌有機物 / 有機無機相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌微生物の機能発現は、土壌団粒が形成する孔隙の大きさ、好気・嫌気条件、利用可能な養分の有無などの微生物の微小生息域(マイクロハビタット)の環境に影響されるが、土壌団粒内部の微小領域について知見が乏しい。本研究では、土壌微生物の生態や微生物活動によって駆動される土壌中の物質循環の解明、有用な微生物機能の効率的な利用を目指し、土壌微生物のマイクロハビタットの環境解明を目的とした。 平成27年度は主に放射光施設を用いたX線顕微鏡(STXM)とX線吸収端微細構造(NEXAFS)を用いて3μm程度の土壌団粒について微小領域の元素マップおよび化学種の分析を行った。 平成28年度は、分析対象元素にアルミニウムを追加してSTXM-NEXAFSによる分析を継続し、X線透過が難しい数マイクロ~ミリメートルスケールの団粒の観察方法について検討を行った。また、ミミズ等の大型土壌動物の飼育実験により得られた土壌団粒について、微生物酵素活性試験、炭素資化能について分析した結果、ミミズの関与した団粒は微生物の活性が高いと同時に微生物群集が異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画よりも優れていると考えられ、新たに加えた放射光を用いた土壌団粒の三次元解析についてデータの解析が遅れている。立体構造の多様性を評価するモデルが見つかっていないためで、本年度は高エネルギー加速器研究機構の研究者と共同し、解析モデルを検討していく。その他の項目についてはおおむね順調に継続中である。また、インキュベーション後の土壌団粒中の有機物組成の変化について解析を行う予定であったが、本年度はより新規性の高い、ミミズ等土壌動物の関与した団粒の解析を優先して実行し、微生物活性の違い等に関して結果を得ることができた。そのため、次年度もミミズ等土壌動物の関与した団粒の解析を進めていくこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
1.これまで得られた放射光による団粒内部のイメージと、微生物の存在部位のイメージを結合する。 2.大型土壌動物が関与する、高次な階層性を持つ団粒に着目し、マクロ団粒(250um以上)の団粒の立体構造および内部の微生物生息位置について解析を行う。 3.トモグラフィーによる土壌団粒の孔隙の多様性を解析し、微生物性が高い団粒のパターンを抽出する。
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Causes of Carryover |
FIBによる土壌団粒の切断を予定していたが、トモグラフィーの分析結果解析が遅れ、実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
筑波大学微細加工プラットフォームにおいて、大型の土壌団粒の切片作成に必要な、機器使用料金として予定どおり使用する予定である。
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Research Products
(5 results)