2015 Fiscal Year Research-status Report
位置・立体選択的水酸化反応を利用した有用ヒドロキシプロリン類の酵素的合成法の開発
Project/Area Number |
15K18677
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原 良太郎 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (70553535)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒドロキシプロリン / trans-3-ヒドロキシ-L-プロリン / ヒドロキシエクトイン / アミノ酸水酸化酵素 / エクトイン水酸化酵素 / 2-オキソグルタル酸依存型ジオキシゲナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遊離アミノ酸に対し位置・立体選択的にヒドロキシ基を導入可能な水酸化酵素、特に2-オキソグルタル酸依存型ジオキシゲナーゼを利用することにより、ヒドロキシプロリンおよびその類縁体を合成する効率的なプロセスを開発する。本年度は、プロリンと化学構造が類似する化合物を基質とする2-オキソグルタル酸依存型ジオキシゲナーゼであるエクトイン水酸化酵素に着目し、大腸菌において当該酵素遺伝子を高発現させ、酵素機能の解析を実施した。エクトイン水酸化酵素は、好塩菌などにおいて報告があり、エクトインのC5位を水酸化し、5-ヒドロキシエクトインを生成する酵素である。当該水酸化酵素は基質特異性が極めて厳密であり、エクトイン以外を水酸化しないことがこれまでの認識であった。しかし、本研究で改めて基質特異性を検討したところ、プロリンに対する水酸化活性を有することが判明した。さらに、詳細な構造解析の結果、生成物はtrans-3-ヒドロキシ-L-プロリンであり、異性体は生成しないことを明らかにした。当該酵素の反応速度論解析を実施したところ、プロリンに対する親和性は本来の基質であるエクトインと比較して低く、比活性もプロリンのほうがエクトインよりも20倍程度低いものであった。続いて、ゲノム情報を利用したエクトイン水酸化酵素ホモログの探索を実施した。系統樹解析に基づき、多様なタンパク質を検討した結果、放線菌由来の酵素がプロリン水酸化反応において好塩菌由来エクトイン水酸化酵素とは異なる反応特性を有することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
好塩菌のエクトイン水酸化酵素の性質を解明するとともに、当該酵素のアミノ酸配列をクエリーとして類縁酵素の取得に成功している。いくつかの候補のうち、好塩菌のエクトイン水酸化酵素よりもわずかながら高活性なものも放線菌から取得しており、エクトイン水酸化酵素の多様性と機能の高さが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
好塩菌のみならず、放線菌からの取得したエクトイン水酸化酵素もヒドロキシプロリン類の合成に利用することにより、効率的な生産プロセスの開発を行う。次年度は、今年度の検討で得られた知見に基づき、組換え大腸菌の菌体反応系を利用したヒドロキシプロリン類の合成を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、消耗品の購入スケジュールに遅れが生じたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算は、反応試薬や分析試薬などの薬品購入費、プラスチック器具やガラス器具などの小器具購入費に充てる。また、国内外の学会における研究成果発表および周辺分野の調査のための出張旅費にも充てる予定である。
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Research Products
(4 results)