2015 Fiscal Year Research-status Report
COI1-JAZ受容体の選択的アンタゴニストの開発
Project/Area Number |
15K18687
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石丸 泰寛 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80590207)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生理活性 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫細胞の系を立ち上げて,COI1の発現を行った.COI1-GSTの入ったバクミドとASK1の入ったバクミドから,それぞれCOI1-GSTとASK1発現用ウイルスを作製した.これらのウイルスを増幅して,混合して昆虫細胞sf9に感染させることで,COI1-GSTタグ+ASK1複合タンパク質発現を行った.ASK1と共発現したGST精製を行い総量 62 nmolを精製した.その後,一般的にITCで用いられる溶液が,リン酸バッファーであったため,精製後のCOI1溶液の透析を行った.COI1の結合パートナーであるJAZはリコンビナント体発現系の構築には成功例が報告されていないため,COI1との結合部位に相当するC末端側ペプチドを合成した. はじめに,リン酸バッファー中のCOI1とコロナチンをセル側に入れ,シリンジ側からJAZ9 degronを滴下することによりITC解析を行った.しかし,この条件では,セルとシリンジのバッファー濃度の僅かなミスマッチのため,希釈熱が大きく発生し,結合熱を検出することができなかった.そこで,透析を行う前のCOI1精製溶液を直接用いて,再度ITC測定を行うことで,希釈熱を減らし結合熱を検出できるようになった.最終的に,COI1,JAZ9 degronとコロナチンの見かけの Kdは,27.1±5.0 nMと計算できた.これは,過去の免疫沈降のCOI1,JAZ degronとコロナチンの見かけの解離定数と類似していた.また,COI1とJAZ9 degronの結合熱,コロナチンJAZ9 degronの結合熱の結合熱は検出できなかったことから,COI1,JAZ9 degronとコロナチンの3者が複合体形成を行うことでエンタルピー駆動の水素結合ネットワークが誘導されることが示唆された. 今後は,このITCの系を用いて,評価を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,ITCの系をたちあげ,Kd値やその他の結合に関わる詳細な数値データを得ることに成功した.この系の立ち上げにより,すべてのJAZに対して結合評価を行えるようになったと考える.来年度以降は,インバースアゴニストならびにJAZサブタイプ選択的アゴニストを作製し,このITCの系を用いた厳密な評価が行えることが可能であることから,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度立ち上げたCOI1,JAZ9 degronとコロナチンの3者複合体形成のITC解析法を用いて,他のすべてのJAZ degronとの見かけの結合定数,エンタルピー,エントロピーを求める.また,CORを構成する2つの部分構造(コロナミン酸とコロナファシン酸)の各々の鏡像体を縮合させたハイブリッド型化合物を,この系に適用し,JAZサブタイプ選択的アゴニストになるかを検討する予定である.COI1-JAZ1複合体において,JAZとの結合に重要とされる5員環ケトン部位に,水素結合ドナー性のない嵩高い置換基を導入することで,COI1との結合性を保持しつつJAZとの結合を阻害できる分子設計を行い,インバースアゴニストを合成する.その後,植物個体にIA_CORをジャスモン酸類とともに共投与して,各種ジャスモン酸応答性遺伝子の発現阻害を確認する.またリコンビナントCOI1とIA_CORとの共結晶を大量作成し,結晶構造解析を行うことで,阻害機構を官能基レベルで明確にする.
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Causes of Carryover |
ITCの結合評価系の確立に関する論文をまとめる予定だったが,JAZサブタイプ選択性アゴニストやインバースアゴニストの作製含めた,より一般性の高い論文にまとめることとしたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越の一部を,今年度の論文投稿予算に追加して計上する予定である.残りは,申請時に比べJAZペプチド合成に係る費用が上がったことから,こちらに補填したいと考えている.
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[Journal Article] The jasmonate-responsive GTR1 transporter is required for gibberellin-mediated stamen development in Arabidopsis2015
Author(s)
H. Saito, T. Oikawa, S. Hamamoto, Y. Ishimaru, T. Utsumi, J. Chen, M. Kanamori, Y. Sasaki-Sekimoto, M. Shimojima, S. Masuda, Y. Kamiya, M. Seo, N. Uozumi, M. Ueda, H. Ohta
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Journal Title
Nature Commun
Volume: 6
Pages: 6095
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Elevated levels of CYP94 family gene expression alleviate the jasmonate response and enhance salt tolerance in rice2015
Author(s)
K. Kurotani, K. Hayashi, S. Hatanaka, Y. Toda, D. Ogawa, H. Ichikawa, Y. Ishimaru, R. Tashita, T. Suzuki, M. Ueda, T. Hattori, S. Takeda
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Journal Title
Plant Cell Physiol.
Volume: 56
Pages: 779-789
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Iron deficiency regulated OsOPT7 is essential for iron homeostasis in rice2015
Author(s)
K. Bashir, Y. Ishimaru, R. Nakanishi Itai, T. Senoura, M. Takahashi, G. An, T. Oikawa, M. Ueda, A. Sato, N. Uozumi, H. Nakanishi, and N. K Nishizawa
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Journal Title
Plant Mol. Biol.
Volume: 88
Pages: 165-176
DOI
Peer Reviewed
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