2016 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of novel cell-penetrating peptide "Polyhistidine" for application to molecular delivery
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15K18689
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岩崎 崇 鳥取大学, 農学部, 准教授 (30585584)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞膜透過ペプチド / 薬物輸送 / ヒスチジン / リポソーム / リソソーム / 植物細胞 / タンパク質導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しく発見した細胞膜透過ペプチド:ポリヒスチジンを様々な分野に応用するべく、ポリヒスチジンを利用した『動物細胞内へのリポソーム輸送』、および『植物細胞内へのタンパク質導入』について評価を行った。 まず、動物細胞に対して高い膜透過性を示す長鎖ポリヒスチジン(H16)を用いて、ポリヒスチジン修飾リポソーム(H16-Lipo)を調製した。このH16-Lipoは、種々のヒト培養細胞に対して細胞膜を透過し、細胞内のリソソームに集積することが明らかになった。そこで、H16-Lipoのリソソーム集積能を利用して、リソソームを標的とした薬物輸送を試みた。リソソーム酵素(GLA: alpha-Galactosidase A)を欠失したリソソーム病細胞を人為的に作出し、GLA内包H16-Lipoを細胞に投与することで、細胞外からリソソーム酵素を補充する酵素補充法を評価した。その結果、GLA内包H16-Lipoを投与したGLA欠失細胞において、表現型(細胞増殖の低下)が解消されることが確認された。すなわち、H16-Lipoはリソソーム病細胞に対する酵素補充法に応用可能であることが示唆された。 また一方で、ポリヒスチジンを利用した植物細胞内へのタンパク質導入を評価するべく、様々な鎖長のポリヒスチジン(H8~H20)を融合した赤色蛍光タンパク質(RFP)を調製した。ポリヒスチジン融合RFPの植物細胞に対する膜透過を調べた結果、RFP-H20がもっとも効率的に植物細胞内に取り込まれ、さらに核内まで移行することが確認された。詳細な解析の結果、RFP-H20は正電荷依存的に植物細胞に取り込まれていることが明らかになった。以上の結果から、ポリヒスチジン(特にH20)は植物細胞内(さらには核内)へのタンパク質導入ツールとして、非常に魅力的な素材であることが明らかになった。
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