2016 Fiscal Year Research-status Report
海洋由来Streptomycesが生産する新規芳香族ポリケタイドに関する研究
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15K18692
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
春成 円十朗 富山県立大学, 工学部, 助教 (00750449)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 芳香族ポリケタイド / II型PKS / rubromycin / Streptomyces / 放線菌 / benzo[b]fluorene |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に新規芳香族ポリケタイドとして平面構造を決定した3化合物について、絶対立体配置の解析を行った。 Rubromycin構造を有する2化合物は、スピロ炭素を共通の不斉中心として有しており、2つの等価な発色団が本炭素によって結合していることから、CDスペクトルを用いた励起子キラリティー法による決定が可能であると考えられた。測定の結果、いずれの化合物も第一コットン効果は負、第二コットン効果は正を示したことから、2つの発色団は負のキラリティー、つまりは反時計回りのねじれを有することが判明したため、絶対立体配置を「S」であると決定した。これらの結果はこれまで報告されているrubromycin類のCDスペクトルと絶対立体配置の関係に一致するものであった。これら2つのrubromycin類の1つは、スピロ環を形成する5員環上に光学活性な二級水酸基を有している。本水酸基の立体は、決定されているスピロ炭素、カップリング定数、ROESYおよびJ-resolved-HMBC法などの各種NMRの測定により決定可能であるとの考えの基、現在も解析を進めている。 Konamycinは6-6-5-6員環システムのbenzo[b]fluorene骨格にamicetoseがC‐グリコシドで結合した構造をもつ。Amicetoseの立体は二級水酸基をMPAエステル化することによって決定し、高度に酸素官能基化された6員環構造の立体はCDスペクトルの分子理論計算による解析を試みたが決定には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画提出時は研究員であったが、28年度より常勤の助教へと変更となった。そのため、大学での教育および運営活動に時間を費やすこととなり、計画通りのエフォートを遂行することができなかった。 また、新規化合物の構造解析および決定が想定以上に困難であったことも遅延の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平面構造が未決定な3化合物の構造解析を進めるとともに、絶対立体配置が未決定なrubromycin類およびkonamycin類について立体構造の決定を試みる。 Rubromycin類の光学活性二級水酸基は、決定されているスピロ炭素、カップリング定数、ROESYおよびJ-resolved-HMBC法などの各種NMRの測定により決定可能であるとの考えの基、現在も解析を進めている。konamycinは、新たに得られたジオール構造を有するkonamycin類を用いて、ジオール部位へのアズレン、ナフトイル、ベンゾイル等の発色団付加を検討し、CDスペクトルによる決定を試みる。
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Causes of Carryover |
進捗状況で述べたように職が変更となり、予定通りのエフォートを遂行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度使用計画に基づき執行する。
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