2015 Fiscal Year Research-status Report
新規抗アレルギー食品成分シフォナキサンチンの有効利用のための基盤構築
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15K18697
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
真鍋 祐樹 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20730104)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カロテノイド / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、食用緑藻に含まれるシフォナキサンチンが、細胞膜の構成成分であるスフィンゴミエリンを増加させることによって、マスト細胞の活性化を強く抑制することを見出している。そこで本研究では、この研究成果をさらに深化させ、シフォナキサンチンを新規のアレルギー体質改善食品成分として有効利用するための基盤の構築を目的とした。平成27年度は、実験動物モデルを用い、個体レベルでのシフォナキサンチンの抗アレルギー作用の評価を進めた。シフォナキサンチンは、有機溶媒を用いてミルから抽出し、シリカゲルオープンカラムクロマトグラフィーと逆相HPLCを組み合わせて純度97%以上にまで精製したものを用いた。また実験動物はNC/Ngaマウスを用いた。剃毛した背部皮膚および耳介にジニトロフルオロベンゼンを複数回塗布することによってアトピー性皮膚炎を発症させ、その後、胃ゾンデを用いてシフォナキサンチンを1週間毎日経口投与した。なお、シフォナキサンチンは、タウロコール酸、オレイン酸、モノオレイン、リゾホスファチジルコリンと共にミセル化してマウスに投与した。炎症マーカーとして耳介の厚さ(耳介浮腫の程度)を電子ノギスを用いて測定したところ、ジニトロフルオロベンゼン塗布によって有意に厚みが増し、2 mg/kg body weightのシフォナキサンチンの経口投与によって、それが有意に減少した。しかしながら20 mg/kg body weightのシフォナキサンチン投与では抑制効果が認められなかった。高濃度の投与で抑制作用が認められなかった原因については、現在のところ不明であり、さらなる検討が必要と考えている。また耳介や背部皮膚組織における炎症関連遺伝子の発現レベルについては、現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個体レベルでの評価を実施し、さらなる検討が必要と考えられるものの、低用量においてシフォナキサンチンの抗アレルギー作用が認められたことから、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
医薬品とは異なり、食品は、人々によって自由に選択され、自由なタイミングで摂取される。そのため、食品機能性成分となるシフォナキサンチンが、他の食品成分、特に他の抗アレルギー食品成分と同時に摂取されることが容易に予想される。そこで、小腸上皮からのシフォナキサンチンの吸収における、他の食品成分との相互作用の有無を検討する。具体的には、ヒト結腸がん由来細胞株Caco-2を小腸上皮様に分化させ、様々な食品成分がシフォナキサンチンのCaco-2細胞への蓄積に与える影響を調べる。また、マスト細胞の脱顆粒反応についても、同様の相互作用の有無の検討を行い、シフォナキサンチンの抗アレルギー作用を増強するような食品成分の探索を試みる。
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