2016 Fiscal Year Research-status Report
新規抗アレルギー食品成分シフォナキサンチンの有効利用のための基盤構築
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15K18697
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
真鍋 祐樹 京都大学, 農学研究科, 助教 (20730104)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カロテノイド / アレルギー / 消化管吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品とは異なり、食品は自由に選択され、自由なタイミングで摂取される。そのため、研究代表者らが注目している新規食品機能性成分シフォナキサンチンをより良く利用するためには、同時に摂取され得る他の食品成分、特に他の抗アレルギー食品成分との相互作用について検討する必要がある。そこで本年度は、抗アレルギー作用が報告されているビタミンE類やポリフェノール類に注目し、ヒト結腸がん由来細胞株Caco-2から成る小腸上皮様モデルを用いて、それぞれの食品成分がシフォナキサンチンの消化管吸収に与える影響を評価した。その結果、α-トコフェロールとγ-トコトリエノールは、シフォナキサンチンと同時に添加した際に、Caco-2細胞によるシフォナキサンチンの取り込みを強く抑制することを見出した。また、これらのビタミンE類は、前処理ではシフォナキサンチンの取り込みを抑制しなかったため、何らかの競合阻害によって取り込みを抑制するものと考えられた。一方、ビタミンE類とは逆に、ルテオリンは前処理によってシフォナキサンチンの取り込みを有意に抑制したが、同時に添加した際には取り込みに影響を与えなかった。研究代表者らのこれまでの研究から、Caco-2細胞によるシフォナキサンチンの取り込みの少なくとも一部にはNPC1L1が関与していることがわかっている。またNPC1L1は、α-トコフェロールやγ-トコトリエノールの消化管吸収に関与していることが報告されており、さらにルテオリンはNPC1L1の発現量を低下させることが報告されている。以上のことから、NPC1L1によって小腸上皮細胞に取り込まれるような食品成分やNPC1L1の発現量を変化させるような食品成分は、シフォナキサンチンの消化管吸収に影響を与え得ると予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、シフォナキサンチンの消化管吸収を増加させるような食品成分や抗アレルギー作用を増強するような食品成分の同定には至っていないが、消化管吸収メカニズムや抗アレルギー作用の作用メカニズムの一端は明らかになりつつあり、シフォナキサンチンの有効利用のための基盤の構築に向けて、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
シフォナキサンチンと他の食品成分の相互作用は、小腸上皮細胞のみならず、マスト細胞においても起こり得る。そのため、マスト細胞に作用することによって、シフォナキサンチンの抗アレルギー作用を増強するような食品成分の探索を進めることも重要である。昨年度までも同様の検討は進めていたが、大きな成果は得られていない。そこで本年度は、徐々に明らかになってきたシフォナキサンチンの抗アレルギー作用メカニズムに注目して探索を進める。具体的には、シフォナキサンチンがマスト細胞のスフィンゴミエリン合成を増加させることによって、抗アレルギー作用を示すことが明らかになってきたため、スフィンゴミエリン合成の基質であるセラミドやホスファチジルコリンを細胞内で増加させるような食品成分に注目し、それらとシフォナキサンチンの相互作用を調べる。
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