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2015 Fiscal Year Research-status Report

酵素合成リグニンポリマーを応用した非侵襲性新規免疫アジュバントの開発

Research Project

Project/Area Number 15K18701
Research InstitutionTokyo University of Pharmacy and Life Science

Principal Investigator

山中 大輔  東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70734599)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsリグニン / 抗原リグニン複合体 / DDS / 抗原特異的IgE
Outline of Annual Research Achievements

本研究ではフェニルプロパノイド類を酵素重合したリグニンモデルポリマーを用いて,抗原の効率的かつ安全性の高い輸送システムを構築することを目的としている。平成27年度は,主にリグニンポリマーと抗原の複合体作製を目標とし,その過程で精製OVA-リグニンポリマー複合体,OVAペプチド-リグニンポリマー複合体,His-タグOVAペプチド-リグニンポリマー複合体を作製した。SDS-PAGEならびにWestern blottingによる解析では,抗原分子量の増大が認められ,抗原とリグニンポリマーが複合体を形成していることを証明した。
抗原特異的抗体の結合性評価に関しては,精製OVA-リグニンポリマー複合体を中心とした解析を進め,リグニンポリマー複合体形成後のOVAは,抗OVA-IgEとの結合能が著しく減少することを見出した。
また無細胞系での抗原再放出の検討を行い,OVA-リグニンポリマー複合体を過酸化水素処理することでOVA特異的抗体との反応性が上昇することを,ELISAならびにWestern blottingを用いて証明した。この結果は,食細胞が複合体を貪食した際に,細胞内で抗原が再放出されることを示唆している。実際に,マクロファージ様細胞株であるRAW264にOVA-リグニンポリマー複合体を添加し,一晩培養後,抗OVA抗体を用いて蛍光染色することで細胞質内にOVAが存在していることを確認した。マクロファージはリグニン類を効率よく取り込むことは既に確認していることから,上記の結果によって,抗原-リグニンポリマー複合体がドラッグデリバリーシステムとして利用できることが証明された。今後の検討では,これら抗原-リグニンポリマー複合体が,安全に抗原特異的抗体の産生を誘導出来ることを期待する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

平成27年度に予定されていた検討項目は,概ね実施することができた。特に,抗原-リグニン複合体から,活性酸素種によって抗原の再放出が起こることを確認できたため,当初の計画以上に進展していると判断した。現在はin vivoの解析を中心に進めている。

Strategy for Future Research Activity

現在,抗原-リグニン複合体の経口投与による抗体誘導実験を進めている。コントロールとなる抗原・リグニン混合物の混成比率を慎重に検討し,それぞれをマウスに投与している。抗原-リグニン複合体の経口投与で抗体価が上昇することが理想的だが,経口投与で抗体を誘導できない可能性もある。その場合,経鼻投与によって抗体産生を誘導することとする。条件検討では,リグニンポリマーそのものにアジュバント活性があることが確認できている。この効果は経鼻投与ならびに腹腔内投与で確認している。したがって,抗原-リグニン複合体の経鼻投与では抗体を誘導できる可能性が高い。また抗体産生における分子メカニズムの解析も,in vitroにて同様に進めていく予定である。

Causes of Carryover

初年度はペプチドの大量合成を行わず,小スケールでの物性解析にとどめている。また精製OVAを利用して各種解析を進めることで,予算の削減を検討した。したがって,現在経口投与用のペプチド-リグニンポリマー複合体は作製できていない。これらは必要に応じて次年度以降に作製する必要があり,次年度の予算枠へと変更したい。また2年目以降はマウスを用いた検討が中心となるため,より多くの予算を必要とすると予想された。これらの理由により初年度の予算を縮小し,次年度へ移行することが最善であると判断した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

本研究で必要とされる機材は概ね所属研究室内で維持できているため,機械類の新規購入は考慮していない。大部分は消耗品費に充てる予定であり,購入予定物品に大幅な変更は無いが,ペプチド類の大量合成費用や,経口投与用の抗原リグニン複合体の大量作製費用が増額することが予想される。また,種々の投与経路を検討する上で,実験動物の購入数を増やす必要があると判断している。2年目以降は高品質な抗OVA-IgEなど,in vivoで使用に耐え得る量の抗体の購入,ヒスタミンの定量に用いる測定試薬の購入など,比較的高価な試薬を必要とするため,これらの購入に次年度使用額を充てることで対応したい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016 Other

All Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] マウスマクロファージによるリグニン標識ビーズ取り込み機構の解析2016

    • Author(s)
      冨岡 太一,山中 大輔,石橋 健一,安達 禎之,大野 尚仁
    • Organizer
      日本薬学会第136年会
    • Place of Presentation
      神奈川県
    • Year and Date
      2016-03-29 – 2016-03-29
  • [Presentation] 磁気ビーズを用いた新規リグニン認識タンパク質の探索2016

    • Author(s)
      遠藤麻穂,山中 大輔,石橋 健一,安達 禎之,大野 尚仁
    • Organizer
      日本薬学会第136年会
    • Place of Presentation
      神奈川県
    • Year and Date
      2016-03-29 – 2016-03-29
  • [Remarks] 東京薬科大学 薬学部 免疫学教室

    • URL

      http://www.ps.toyaku.ac.jp/wp/menekigaku/archives/category/works

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Published: 2017-01-06  

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