2015 Fiscal Year Research-status Report
食による抗アレルギー法の構築を目指したマスト細胞の機能制御の分子基盤解明
Project/Area Number |
15K18702
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
笠倉 和巳 東京理科大学, 基礎工学部, 研究員 (00724577)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マスト細胞 / アレルギー / 転写因子 / 食品成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
食物アレルギーや花粉症といったI型アレルギー炎症誘導において中心的な役割を担っているマスト細胞に焦点を当て、①アレルギー関連遺伝子の発現制御機構の解明および②食品成分による制御機構の解明に取り組んだ。 ①アレルギー関連遺伝子の発現制御機構は、アレルギー増悪因子として注目されているIL-33の受容体であるST2、マスト細胞に特異的に発現するマスト細胞プロテアーゼ(mast cell protease; MCPT)、IgE/抗原刺激によるマスト細胞の活性化に関わるシグナル分子であるSykについて分子生物学的手法を用いて解析した。siRNA技術を用いた解析により、それぞれの遺伝子発現に関わる転写因子を明らかにした。また、ルシフェラーゼアッセイやクロマチン免疫沈降によりSykおよびMCPT-1については転写活性化に重量な領域を同定した。 ②食品成分によるアレルギー関連遺伝子の発現制御機構は、マスト細胞の活性化の鍵となる高親和性IgE受容体(FcεRI)の発現を制御する食品成分の探索を行った。FACSにより細胞表面のFcεRI発現を抑制する食品成分をいくつか見出した。さらに、FcεRI構成遺伝子とそれらの転写活性化に関わる転写因子のmRNA発現量を定量PCRで測定し、転写レベルおよび転写後レベルで抑制する食品成分に分類した。 食品成分に加えて、プロバイオティクス菌などのグラム陽性菌の菌体成分であるペプチドグリカンがFcεRI発現を抑制することをこれまでに明らかにしていたため、そのメカニズム解析を行い、翻訳後レベルで抑制していることを明らかにした。 以上、アレルギー予防・治療法として転写因子をターゲットとすることが有望な戦略になりうることが示された。また、アレルギー関連遺伝子の発現が食品成分により制御できる可能性が示され、食によるアレルギー予防・治療効果が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マスト細胞におけるFcεRI発現を制御する転写因子として同定されているPU.1, GATA1, GATA2についてFcεRI以外のアレルギー関連遺伝子の発現制御機構の解明を目指した。その結果、これらの転写因子により発現が制御されている分子として分泌型ST2, Syk, MCPTを新たに見出した。また、その発現制御メカニズムの一部を明らかにすることができた。平成27年度にはこれらの転写因子により発現が制御される分子をさらに特定するためにマイクロアレイによる網羅的な解析を予定していたが、次年度に持ち越した。しかし、平成28年度に計画していた食品成分によるアレルギー関連遺伝子の発現制御機構について、約40種類の食品成分を用いて細胞表面のFcεRI発現を指標にスクリーニングを行った結果、FcεRI発現を抑制する食品成分を見出すことができた。 以上、一部の解析を次年度に持ち越したが、次年度に予定していた解析を行うことができたため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる平成28年度は、マスト細胞においてPU.1, GATA1, GATA2により発現が制御される分子を探索するためにマイクロアレイによる網羅的解析を行う。その結果を基にそれぞれの転写因子が単独または協調的に発現を制御している分子を特定する。また、マイクロアレイで見出した遺伝子の発現制御メカニズムを明らかにする。食品成分を用いた解析では、前年度に転写レベルでFcεRI発現を抑制する食品成分に焦点を当て、分子メカニズムを明らかにする。さらに、FcεRI発現を抑制する物質として見出した食品成分について、マウスを用いたin vivo解析を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度に計画していたマイクロアレイによる網羅的解析を次年度に持ち越したため、平成28年度に使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究費は、実験試薬、実験器具、実験動物に使用する計画である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Involvement of PU.1 in NFATc1 promoter function in osteoclast development.2015
Author(s)
Ishiyama K, Yashiro T, Nakano N, Kasakura K, Miura R, Hara M, Kawai F, Maeda K, Tamura N, Okumura K, Ogawa H, Takasaki Y, Nishoiyama C
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Journal Title
Allegology International
Volume: 64
Pages: 241-247
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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