2015 Fiscal Year Research-status Report
腸管樹状細胞評価系による腸管炎症抑制乳酸菌の機能成分探索
Project/Area Number |
15K18703
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
島津 朋之 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 助教 (20616437)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / Treg |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、クローン病や潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患が急増しており問題となっている。これまで、ある種の乳酸菌が腸管樹状細胞への機能発揮からマウスDSS誘導大腸炎を軽減させる一方、ヒト患者では近縁種乳酸菌が減少していることが明らかになっている。本研究では、腸管樹状細胞評価系の樹立から、本乳酸菌の機構解析や機能成分の探索を行い炎症性腸疾患軽減に関わる有効成分を明らかにすることを目的とする。 本研究で使用する乳酸菌は腸管樹状細胞における強いIL-10、TGF-β誘導能を持ち、これがTregを主体とした腸管炎症抑制に重要と考えられる。そこで、機能性評価のために腸管樹状細胞と同様な機能性を保持する骨髄由来樹状細胞分化方法の検討を行った。GM-CSF、レチノイン酸、Flt3L、IL-4について検討したところ、GM-CSF(GM-DC)のみの添加が最も評価に適していた。さらに、GM-DCを用いた混合リンパ球反応試験から、本乳酸菌がTreg分化誘導を亢進することが明らかとなった。また、GM-DCを用いた試験から本乳酸菌の機能発揮にMyD88が重要であること、そして、C型レクチン受容体シグナルも協調的に作用している可能性が示唆された。現在、ノックダウンにより詳細な受容体の検討を行っている。一方、生体機能をより反映した腸管樹状細胞株の樹立のため、温度感受性変異SV40LT抗原トランスジェニックマウスを導入した。本マウス腸管より直接樹状細胞を分離・培養し株化することで、生体により近い機能性を持つ腸管樹状細胞株の樹立を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、乳酸菌評価に用いる系の構築が完了した。予想に反してGM-CSFを用いた樹状細胞が最も適当であった。また、Treg分化に関与する受容体の絞り込みを行うことが出来た。これを手がかりに、責任受容体を追求し責任成分を明らかにしていく。一方、温度感受性変異SV40LT抗原トランスジェニックマウスは自然交配が難しくマウス維持が困難であったが、現在は維持が可能となり、今後細胞株の樹立を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において、乳酸菌側の成分を明らかにすべく、生化学的な分離を試みたが、ペプチドグリカン層の分画過程の初期において活性が消失してしまった。これは、上記のMyD88とC型レクチン受容体の協調作用、すなわち、複数の成分が同時に存在する必要があること、もしくは立体構造が重要であることによると考えている。そこで、本年度は受容体の解明に注力し、受容体の解明から強制発現株を樹立し責任成分を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初、温度感受性変異SV40LT抗原トランスジェニックマウスに関して業者より都度購入する予定であったが、凍結卵を作製することが可能となったため、購入費用が削減でき未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、本研究で明らかとなったシグナル経路分子のノックアウトマウスの購入や、生化学的分離の為の機器購入に使用予定。
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