2015 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯アジアにおける亜酸化窒素およびメタンの収支にマメ科樹木が及ぼす影響
Project/Area Number |
15K18712
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 大喜 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 研究員 (90749095)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 窒素循環 / マメ科 / 亜酸化窒素 / 熱帯林 |
Outline of Annual Research Achievements |
マレーシア・デラマコット森林管理区の低地フタバガキ林において、マメ科樹木と非マメ科樹木の樹木直下土壌からの亜酸化窒素放出量、無機態窒素量、微生物態窒素量、溶存有機窒素量を比較したが、いずれも有意な差は見られなかった。また、マレーシア・キナバル山の標高700mに設置された調査地においても同様に無機態窒素量、微生物態窒素量、溶存有機窒素量、硝化ポテンシャル、純アンモニア化速度、純硝化速度、微生物態窒素の変化量、および溶存有機窒素の変化量を比較したが、有意差は見られなかった。これらの結果から、アジア熱帯においてはマメ科樹木が窒素循環に与える寄与は大きくないことが示唆された。このように、マメ科樹木の絶対数の小ささに加え、マメ科樹木の窒素循環への寄与の小ささが、アジア熱帯において亜酸化窒素放出量がしばしば低く報告される原因のひとつとなっていると考察した。 今後は、(1)アジア熱帯におけるマメ科樹木の窒素固定量の実態を明らかにすること(2)アジア熱帯における窒素流入経路を明らかにすること(3)南米やアフリカなど他の熱帯林との窒素循環形態を比較することなどが課題となる。窒素固定量については、アセチレン還元法および窒素同位体法によって測定し、その量を明らかにするとともに他の熱帯林の値との比較を行う。窒素流入経路については、シアノバクテリアなど非マメ科の窒素固定量を明らかにする。生態系の窒素獲得をマメ科樹木に頼ることのできないアジア熱帯では、非マメ科の従属栄養窒素固定が比較的重要なのかもしれない。これら従属栄養窒素固定についても他の熱帯林との比較が必要である。研究代表者が海外勤務(学振海外特別研究員)となったため研究を続行することはできないが、本課題については少しずつ研究を進めるとともに、構想をさらに膨らませて将来の解明実現を目指し続ける。
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[Presentation] Greenhouse gas emissions from tropical tree plantation with leguminous and non-leguminous species2015
Author(s)
Taiki Mori, Chongrak Wachrinrat, Duriya Staporn, Ponthep Meunpong, Warawich Suebsai, Khitja Boonsri, Warisa Lumban, Manassawee Kuawong, Thanida Phukdee, Juruwan Srifai, Kannika Boonman, Kanehiro Kitayama
Organizer
日本熱帯生態学会
Place of Presentation
京都大学
Year and Date
2015-06-19 – 2015-06-21