2018 Fiscal Year Annual Research Report
The effects of winter dormancy on growth and the molecular mechanism in Japanese cedar
Project/Area Number |
15K18716
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
能勢 美峰 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (20582753)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 休眠 / スギ / 遺伝子発現解析 / 種内変異 / 冬 |
Outline of Annual Research Achievements |
冬期の環境条件はスギの成長に大きな影響を与えることが報告されているが、成長停止期における生命現象についての知見は少なく、その解明が求められている。本研究では、屋外に植栽されているスギの切り枝を10月から3月まで定期的に採取し、温暖・長日の成長に適した環境に置き、開葉にかかる日数から休眠ステージを推定した(切り枝法)。その結果、8週間の試験期間中に開葉しない「自発休眠期」と開葉する「他発休眠期」が存在することが明らかになった。また、他発休眠に移行後は、開葉にかかる日数から休眠の深さを推定した。切り枝と同時に、遺伝子解析用のサンプルとして芽を採取し、RNAを抽出、マイクロアレイを用いて網羅的な発現解析を行った。その結果、休眠期においても刻々と発現遺伝子は変化していた。自発休眠時と他発休眠時の遺伝子発現を比較したところ、休眠ステージによって成長やストレス、糖関連などの遺伝子発現量に有意な差があることを明らかになった。また、他発休眠に移行後、休眠の深さと相関のある遺伝子を明らかにした。さらに、全国から選抜されたスギ16クローンについても、前述した切り枝法を用いて1月の休眠を評価した。その結果、全てのクローンにおいて他発休眠への移行は完了していたものの、クローンによって開葉にかかる日数には3週間以上の差が見られた。このことから、スギの休眠ステージには種内変異が存在することが明らかになった。以上の結果をまとめると、スギには自発休眠期と他発休眠期が存在し、それぞれ異なる生命現象が起きていること、また、休眠ステージには種内変異があることが明らかになった。今後の研究において、スギの成長休止期をひとまとめにして扱うのではなく、それぞれのクローンの休眠ステージを把握することが、冬期における研究を進める上で大切だと考える。
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