2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18720
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
遠藤 力也 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 協力研究員 (90634494)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 菌類群集 / 多様性 / 高速シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我が国の森林にどれだけ多様な真核微生物が存在しているか、網羅的な調査により明らかにすることを目的とする。高速シーケンサーを用いた菌類群集の解析(非培養法)および培養を介した菌株の収集により、森林環境に棲息する菌類の多様性を評価する。 真核微生物の生育環境として土壌(樹木の根圏)や樹皮を想定しており、植物体そのものが多く混入した試料を用いることになる。ここから抽出した全DNAを高速シーケンサーによる群集解析に供試する際、植物由来のDNAが菌類群集の解析に影響を及ぼし得ることが知られている。このため、解析に用いるプライマー,PCR条件,アンプリコン精製法等、実験条件を検討する予備実験を行った。その結果、良好なデータを得られるワークフローを確定するとともに、高速シーケンサーを用いて32検体を同時に群集解析することに成功した。一方、本実験に供試する土壌サンプルを広島県内の竹林や京都府内の二次林などで採集した。これらのサンプルを供試し、上記ワークフローにて本実験を実施する予定である。 また、ウルシやトベラに穿孔したコキクイムシに随伴する酵母株を収集し、資化性状試験および種同定を行った。その結果、ウルシに穿孔したキクイムシから採れた酵母は新種と考えられた。今後、我が国の森林が擁するユニークな菌類をより広範な基質・環境から培養法によって収集し、その情報を普く発信していくことが課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度のうちに高速シーケンサーを用いた群集解析の本実験の一部を開始する予定だったが、条件検討にやや手間取ったため進捗状況は少々遅れ気味である。一方で、培養法による森林環境からのユニークな菌類の収集においては、ウルシやトベラに穿孔したコキクイムシから分離される酵母を収集する等、予定していなかった成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
データ産出に関しては若干の遅れがあるものの、ハイスループットに研究を進める準備はほぼ調いつつある。今後、試料のサンプリング地点を増やすことと、土壌以外の試料採集も進める。試料採集については日本各地の研究者に協力を依頼しており、2016年度はより効率的な試料収集がのぞめる。
|
Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」に記した通り、高速シーケンサーを用いた菌類群集解析について、予備実験の実施に手間取ったため本実験を開始できなかった。概ねこれによって当該年度研究費の未使用が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定より進捗が遅れていることに起因するものであるため、使用用途は当初の計画と大きくは変わらない。菌類群集解析の本実験に供試する試料の採集とそのサンプル処理にかかる試薬、高速シーケンサーのランニングコストに費やす予定である。研究進捗状況の遅れを取り戻すため、今年度は高速シーケンサーによるデータ産出を外注することも検討する。
|
Research Products
(9 results)