2016 Fiscal Year Research-status Report
タイにおける福島原発事故後の日本産農水産物・食品の主体別輸入対応行動の総合評価
Project/Area Number |
15K18747
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
LUR PUANGKAEW 筑波大学, 生命環境系, 助教 (30746524)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本産農水産物・食品 / 流通・販売実態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、原発事故後のタイにおける日本産農水産物・食品の流通・販売状況を把握するために、現地調査を行った。具体的には、タイの首都バンコクの小売店で販売されている日本産農水産物・食品の種類や価格などに関する調査を実施した。調査対象小売店は、1.日系百貨店「伊勢丹」、2.日系スーパー「UFMフジスーパー」、3.タイ系高級百貨店「エンポリアム」、4.タイ系高級百貨店「セントラルフェスティバル・イーストヴィル」の4つである。 その結果、ターゲットにしている顧客層・タイプの違いで、日本産農水産物・食品の取り扱いが異なることが確認できた。例えば、1と3では、主に日本人とタイ人富裕層を対象としているため、一般食材だけでなく、日本直送の野菜、高級果物等の高級食材も取り扱っている。それに対し、買い物客のほとんどが日本人である2では、高級食材は少ないが、基本的な日本食材から、調味料、加工品等まで、日本産農水産物・食品の品揃えが豊富である。一方、タイ人中間所得層と富裕層を対象としている3では、人気のある果物や野菜など、取り扱っている日本産農水産物・食品の種類・品目が限定的である。 販売価格に関しては、各小売店の間に大きな差は認められなかった。また、各小売店では、消費者に日本産であることと品質や美味しさをアピールした販売促進を行うために、日本語が記載されているPOPやシールとともに、味、食感、品種、産地に関する情報を記載したタイ語のPOP・チラシを提示している。なお、調査時には福島産の桃が販売されていたが、特に放射能や安全性に関する情報は発信されていなかった。その理由として、タイでは原発事故による風評被害が回復していることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年4月に妊娠が確認され、同年11月に出産を控えたため、予定していた数回の現地調査と輸入業者・スーパーへの聞き取り調査が1回しか実施できなかった。しかし、その1回の現地調査と聞き取り調査で得られた情報やデータが活用できる部分が多いため、計画書に提示した内容の研究が7割程度遂行できたと考えている。なお、出産後の育児のため、論文執筆や投稿が計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き現地調査を行い、タイにおける日本産農水産物・食品の輸入・販売実態を把握する。また、輸入業者,スーパーおよび外食産業など日本産農水産物・食品の輸入に関わる主体の原発事故後の対応行動に関する聞き取り調査を行う。 なお、2017年4月1日に所属が筑波大学から国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)へと変わったため、今後の研究の方向性について上司と相談する予定である。
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Causes of Carryover |
妊娠・出産のため、国外への出張を控えることとなったため。また、運営費交付金等の経費を活用し、本研究費での国内での出張旅費、物品費を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は遅れを取り戻すため、研究計画を再検討し、研究協力者とともに現地調査と聞き取り調査を実施する予定である。次年度使用額はその調査のための出張旅費に使用する予定である。
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