2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive evaluation of response of Japanese agricultural and foods import stakeholders and consumers after the Fukushima nuclear accident in Thailand
Project/Area Number |
15K18747
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
LUR PUANGKAEW 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食農ビジネス推進センター, 研究員 (30746524)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原発事故 / 安全意識 / テキストマイニング / 買い控え |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、原発事故後の日本産農水産物・食品に対するタイの消費者の安全意識・購買行動を把握するために,①SNS上の投稿データの収集・分析,②アンケート調査を行った。具体的には、①では日本、食品、放射性物質等をキーワードとして、2011年3月~2018年11月のSNS上の投稿データを収集し、KHcoderを用いてテキストマイニング分析を行った。②では200人のバンコク住民を対象に訪問面接によるアンケート調査を行った。 ①では、延べ977件の投稿データを収集した。投稿件数が比較的多い2011年(68件)と2018年(797件)の投稿データについてテキストマイニング分析を行った結果、2011年では5つの記述(日本の食品の放射性物質汚染への懸念、日本の水産物・水産加工品の摂取控え、日本の水資源の放射性物質汚染、日本の食品に対する安心感、原発事故が発生した日本への同情)、2018年では6つの記述(日本の食品の摂取控え、日本に対する批判と要求、タイ政府に対する批判・要求、福島県産鮮魚に対する安心感、放射性物質の検査基準、放射性物質による長期的な健康被害)のまとまりが見出された。これより、原発事故から7年間が経過しても、タイにおいては風評被害が根強く残っていること、またその被害はマスメディアの報道により深刻化すること、特に福島県産水産物に対して依然として不安を感じる人は少なからず存在することが明らかになった。 ②では、消費者の属性と原発事故後の購買行動の関係を分析した。その結果、「女性」「子供がいる(特に10歳未満の小さい子供がいる)」「学歴、または世帯収入が高い」「日本の地域を区別できない」「日本・タイ政府の食品の放射性物質からの安全性確保に対する信頼が低い」といった属性の消費者ほど原発事故後の日本産農水産物・食品の買い控えが行われる傾向が高いことが明らかになった。
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