2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18750
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
古澤 慎一 新潟大学, 自然科学系, 助教 (40588315)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生活協同組合 / コーポレート・ガバナンス / 農業の多面的機能 / 社会的企業(ソーシャル・ビジネス) |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、生活協同組合及び多面的機能を発揮する農業をそれぞれ社会的企業(ソーシャル・ビジネス)の一形態として捉えた上で、1) 生活協同組合のコーポレート・ガバナンスの実証分析、2) 農業の多面的機能の発揮を通じた都市の持続的発展のメカニズムの実証分析、の2つの調査・分析を主に進めた。主な内容と得られた結果は以下のとおりである。 1) では、前年度までに得られた分析結果をもとに論文取りまとめと学会発表を行った。具体的には、コーポレート・ガバナンス論および産業組織論にもとづく理論的考察と実証的分析を通じて、①日本の生協のガバナンスモデルは、準マルチ型のステールホルダー・モデルに近く、生協のガバナンスの改善が生協の扱う食料品の(広義の)品質向上に寄与すること、②生協のパフォーマンスは、食料品の市場構造・成果と密接に関係しており、生協間や小売業との競争環境が、生協のイノベーションを生み、運営パフォーマスだけでなく、食料品市場全体のパフォーマンスにも影響を及ぼしていることを明らかにした。 2) では、前年度までの分析結果を踏まえて、農業の多面的機能の発揮を通じた地域の持続的発展のメカニズムを理論的・実証的に明らかにするために、都市経済論(主にクリエイティブ・クラス論)および農業開発論のフレームワークを援用しつつ、調査の実施およびデータ分析を進めた。具体的には、東京都と上海市の都市住民を対象として、農業の多面的機能への選好・評価、ソーシャル・ビジネスの起業意向についてのアンケート調査を実施し、得られた結果をもとに、クリエイティブ・クラスの選好を明らかにし、農業の多面的機能の発揮を通じた都市の持続的発展のメカニズムについての統計分析を行った。また、関連領域として、寛容性に着目しつつ、日本の主要都市における地域の持続的発展とクリエイティブ・クラスとの関係についての予備的分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果を総合化できなかったため、当初計画した3年間での研究完了を達成できなかった。 初期の目的を達成するために、対象領域を広げたり、分析アプローチを見直す必要が出たためである。
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Strategy for Future Research Activity |
必要に応じて補足調査を実施するとともに、これまでの研究で得られた成果を個別の論文として取りまとめ、学会発表・論文投稿を進める。同時に、成果全体の取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
研究の目的をより精緻に達成するために、計画の変更が必要となった。関連分野の最新の研究動向をふまえて、調査のデザインや実施方法を検討し直したため、結果の解析、追加調査、成果の取りまとめを1年間延長することとなったため。主に学会発表、論文投稿、補足調査の費用として使用する予定である。
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