2016 Fiscal Year Research-status Report
移住者を含めた若年農村女性の起業・継業を通じたエンパワメントに関する実証的研究
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15K18754
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
澤野 久美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター 農業経営研究領域, 任期付研究員 (10445851)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 若年層農村女性 / 女性農業者 / キャリア形成 / 法人就農 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、以下の5つの内容について取り組んだ。第一に、起業活動の継承方策について、加工に取り組んでいる事例をもとに加工作業のマニュアル化やOJTの方法等を現地調査から把握した。第二に、個人で農家レストランを経営する事例をもとに、継承後の原料調達やメニュー設定・開発などについて検討した。第三に、移住者を含めた若年層の女性の仕事づくりについて、行政(主に普及)の支援方策等について現地調査をもとに検討するとともに、研究学会やセミナーなどに参加し情報収集に努めた。第四に若年層女性農業者が参加しているネットワークの実態や普及の支援体制について現地調査を実施した。また、県レベルで実施されている若年層女性農業者向けの6次産業化等に関するセミナーや勉強会にも参加し、情報収集に努めた。第五に、平成27年度に十分に検討できなかった農業法人に就農した若年層女性のライフヒストリー、農業法人内での作業内容や役割、法人代表者側の女性従業員に対する評価等に関するヒアリング調査も実施した。若年層未婚女性の場合は特に独立就農が困難な場合が少なくないことから、法人就農により独立就農で取り組みたかった作目や品目に従事できることが、仕事上の大きなやりがいに繋がっていること等を明らかにした。また、法人代表者側も同世代の女性従業員を雇用することで相談しやすい雰囲気づくりを行うこと等により人材定着をはかっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、起業活動の継承などの組織レベルでの検討を進めるとともに、若年層女性農業者のエンパワメントに重要な役割を果たしていると考えられるネットワーク等に関する調査や農業法人に就農した女性への調査等を実施した。起業活動の継承や継業に関しては、現在の調査地の継承状況をみながら、新たな調査地の選定等も含めて対応を検討しつつある。その他の検討課題については従来から訪れている現地調査先との関係は良好で、新規の調査地とも良好な関係を築きつつあるため、調査の実施や資料収集などに現時点では問題が生じていない。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、最終年度となるため、調査の遂行と共にこれまで実施した調査の取りまとめを行う。特に移住女性(移住女子)や法人就農女性については社会的関心も高いことからそれらに関する研究成果公表に努めたい。また、若年層女性農業者のエンパワメントにはネットワーク形成や農業塾等への参加が重要であることが示唆されているため、そのような取り組みについても継続して検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額52,845円は、翌年度分として請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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Research Products
(1 results)