2015 Fiscal Year Research-status Report
多種多様な遠隔精密センサデータの総合的分析に基づく地上森林資源調査技術の開発
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15K18765
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
溝口 知広 日本大学, 工学部, 准教授 (30547831)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 樹種判別 / 機械学習 / 曲率 / レーザスキャナ |
Outline of Annual Research Achievements |
地上における森林資源調査においては,各樹木の樹高,胸高直径,材積等の定期的な寸法測定に加え,樹種の判別も重要な項目の1つである.近年では,森林内部を3次元計測して取得した計測点群から上述の寸法を算出することが一般的となりつつあるが,樹種判別は熟練者の経験に頼らざるを得ないのが現状である.わが国の森林の大半を占めるスギとヒノキでは市場価値に差が有り,森林内にはこれらが混在する場所もある.樹種を判別できれば,林分境界や林分面積が分かり,木材価格が正確に見積もれるなどのメリットがある.広大な森林内の樹種判別を効率化するため,自動判別手法の開発が望まれている.本研究では,樹種ごとに異なり,なおかつ季節変化,経年変化の少ない樹皮に着目した.本年度は,めくれに伴う樹皮表面の凹凸を曲率を利用して定量評価し,これを特徴量として機械学習にて樹種判別を行う2つの手法を開発した.1つ目は,曲率のヒストグラムから特徴量ベクトルを算出し,これをサポートベクターマシン(SVM)に利用することで判別を行う方法である.2つ目は,点群上で算出した曲率から平面投影により曲率画像を作成し,これをディープラーニング(DL)に利用する方法である. SVMを用いた手法での実験では,合計1,040枚のパッチを使用した.学習用,テスト用のパッチ数をそれぞれ800枚,240枚に設定し,その組み合わせをランダムに1000通りに設定し学習と判別を行い,精度と再現率の観点から判別性能を評価した.その結果,平均f値が約86.8%と良好な結果が得られた. ディープラーニングを用いた手法での実験では,合計2,430枚のパッチを使用し,学習用2,245枚,テスト用185枚にて行った.ディープラーニングでは1回の学習に数時間を要するため,SVMの場合のように多くの組み合わせでの実験は困難である.その結果,f値が72.8%と低い判別率となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実際のスギ・ヒノキ林にてレーザスキャナで計測点群を取得し,樹種自動判別を行う手法を開発した.具体的には,樹皮表面の凹凸を定量評価可能な曲率算出手法の開発を行った.また,得られた曲率値より特徴ベクトルを算出し,これをSVMに利用することで自動判別可能な手法を開発した.さらには,同じく曲率値から曲率画像を作成し,これをもとにディープラーニングにて自動判別を行う手法も開発した.数千枚の樹皮パッチによる様々な実験より,スギ,ヒノキを87%の精度で判別を行うところまで研究が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ディープラーニングを用いた手法による判別率向上を目指し,まず,計測点群からのパッチ抽出手法を見直し,より高い判別率が得られるよう,画像作成の方法を検討しなおす.さらには,複数種の機械学習アルゴリズムを組み合わせた手法を開発することでも判別率向上を目指す.また複数の地域にて取得したデータに対する判別実験を行い, 樹齢の自動判別に向けて検討を行う.
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Causes of Carryover |
本年度は,当初予定していた業務委託によるレーザ計測を行わなかったため.手持ちのデータを利用して基礎技術の開発を行っており,研究の進捗には影響は全くない.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初1回のみ予定していたレーザ計測を2回行う.これにより地域差による樹種判別精度の比較を行う.
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