2016 Fiscal Year Research-status Report
EGFRシグナル伝達系の活性化増強機構の解明によるウシ卵子の発生能向上
Project/Area Number |
15K18768
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
杉村 智史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任准教授 (00728454)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | EGFR / BMP15 / GDF9 / SMAD2/3 / SMAD1/5/8 / 卵丘細胞 / 卵子の発生能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はEGFRシグナリング伝達経路における卵子分泌因子(OSFs)の関与を解析した.リコンビナントBMP15, リコンビナントGDF9, リコンビナントBMP15/GDF9ヘテロダイマー, リコンビナントGDF9変異体をpro-mature 複合体として精製・作成した.精製・作成は研究協力者に依頼した.これら作成した卵子分泌因子およびEGRFのリガンドであるEGF様ペプチド(AREG)を卵子成熟培地に添加し,卵子の発生能を卵割率および胚盤胞形成率として評価した.結果,BMP15/GDF9ヘテロダイマーとAREGを添加した場合で最も胚盤胞形成率が高かった.一方,GDF9+AREGでは発生率の向上は認められなかった.このことはBMP15/GDF9ヘテロダイマーがEGFRシグナル伝達経路を増強させたことを示唆している.さらに,SMAD2/3およびSMAD1/5/8の阻害剤であるSB50512(SB),LDN193189(LDN)の影響を解析した結果, 成熟培地へのSBおよびLDNの同時添加により発生率が低下した.すなわち,BMP15/GDF9ヘテロダイマーによって刺激されたEGFRシグナリングの活性化増強にはSMAD2/3およびSMAD1/5/8双方が協調的に関与していることが示唆された.BMP15/GDF9ヘテロダイマーを成熟培地へ添加することで,生育可能ウシ卵子の効率的生産が可能になりうる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の計画通り研究が進められた.しかし,予定していた卵丘膨化関連遺伝子の発現解析が終了しなかったため次年度にそれを実施する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は予定通りEGFRシグナル伝達系の活性化増強におけるcAMP-PKAおよびSMADsの相乗作用について解析する。これまでの研究成果からcAMP-PKAの刺激にはdbcAMP+IBMX,SMADsの刺激にはBMP15/GDF9ヘテロダイマーを用いてその相乗効果を解析する.また,昨年度終了しなかった卵丘膨化関連遺伝子の発現解析も合わせて行う.
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Causes of Carryover |
H28年度予定してた遺伝子発現解析が終了しなかったため次年度実施するため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分は遺伝子発現解析用試薬の購入に充てる.
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Research Products
(4 results)