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2015 Fiscal Year Research-status Report

カンボジア在来種を利用したウシの暑熱ストレス耐性原因遺伝子の探索と機能解析

Research Project

Project/Area Number 15K18769
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

PHENG Vutha  名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院, 特任准教授 (70747120)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords応用動物 / 生理学 / 獣医学 / 畜産学 / ストレス / 暑熱 / ウシ / 遺伝子多型解析
Outline of Annual Research Achievements

地球温暖化の影響により猛暑が深刻化する近年、乳用牛が受ける暑熱ストレスは酪農家にとって最も重要な問題のひとつとなっている。一方、アジアなどの熱帯地域にはその土地の気候に適応した様々な在来種のウシが存在し、乳量は少ないが、暑さに非常に強い特徴を有する。本研究は、カンボジア在来種のウシについて生理学的・遺伝学的解析を行うことにより、暑熱ストレスに強いウシの特徴を見いだすことを目的とする。
平成27年度は、プノンペン近郊の農家で飼育されているカンボジア在来の乳用牛と、名古屋大学アジアサテライトキャンパス学院・カンボジアキャンパスにて飼育している乳用牛(それぞれホルスタイン種と東南アジア在来種の交雑種)を用いて、カンボジアにおいて比較的低温期である雨季の終わり(1月)から高温・暑熱期である乾季(6月)までの移行期に焦点を当てて、乳量と環境温湿度との相関関係を調査した。その結果、乳期(初期、中期、後期)に関係なく、高温期への移行は乳量を低下させる傾向にあることを見出した。本調査は例数を追加して継続している。
また、ウシにおける暑熱ストレス耐性を評価する指標として、ホルター心電図から得られる心拍変動解析データの有効性を確認するため、ウシにおける心拍変動パラメータの日内変動を検討した。その結果、気温が上昇する日中に交感神経系の活性が上昇する日内変動を観察することができた。今後、例数を追加して解析を続けるとともに、暑熱環境下(日陰のないパドック)および畜舎内(日陰あり)におけるウシの心拍変動パラメータの比較を行い、心拍変動解析データをウシの暑熱ストレス耐性評価の指標として確立する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成27年度の研究計画では、乳量などの生理学データに加えて、繁殖機能に関連するホルモン(LH、FSH、エストロゲン、プロゲステロン、プロラクチン等)の血中濃度、および栄養状態および代謝の指標となる甲状腺ホルモン、酢酸、遊離脂肪酸等の血中濃度の測定を実施することを予定していた。しかし、農家所有の乳用牛で採血をすることが困難であったこと、また、実験用として取扱いが容易である乳用牛が、名古屋大学アジアサテライトキャンパス学院・カンボジアキャンパスに導入されるのに時間がかかったことから、各種血中濃度測定を実施することができなかった。さらに、カンボジアでのデータ取得を優先したため、日本の乳用牛の生理学的データの取得には至らなかった。次年度は、これらの計画を推進する予定である。

Strategy for Future Research Activity

本研究では、世界的に求められる「乳量が多くかつ暑熱ストレス耐性の高い乳用牛」の開発のための基盤的知見として、遺伝子多型解析を行うことで暑熱ストレス耐性の原因遺伝子を特定し、暑熱ストレス耐性のメカニズムを解明することをめざしている。そのための研究対象として、カンボジア在来の乳用種を活用して、日本のウシの生理学的データ・遺伝学的データとの比較を行うことの利点は多く、今後も調査を継続して行い、目的達成に向けて研究を進展させる。また、研究開始時点で、ウシにおける暑熱ストレス耐性を評価する指標として、ホルター心電図から得られる心拍変動解析を活用することを追加した。心拍変動解析によりウシの交感・副交感神経系の活性を評価することが可能である知見を得ることができたため、今後はこの測定技術を活用して暑熱ストレス耐性の有無を検証することで、ウシの暑熱ストレス耐性誘導メカニズムの解析につなげていく。

Causes of Carryover

平成27年度は、繁殖機能に関連するホルモンや栄養状態および代謝の指標となる生理活性物質の血中濃度解析および遺伝学的データ解析に着手できなかったことから、遺伝子関連実験用試薬や一般実験消耗品類の購入費が予想以上に少なくなったため、次年度使用額を計上することとなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度は、カンボジアおよび日本のウシの生理学的データおよび遺伝学的データの取得と解析を最優先に取り組む。そのため、遺伝子関連実験用試薬類、獣医学関連消耗品(注射筒、注射針など)およびプラスチック消耗品類などの資材の調達や調査旅行旅費を確保する必要があり、平成28年度に請求する予定の次年度使用額は、本研究計画を円滑に推進するために有効に活用する。

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Published: 2017-01-06  

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