2015 Fiscal Year Research-status Report
炭素貯留効果を考慮した堆肥等家畜ふん尿由来有機質肥料利用の環境負荷低減効果の検証
Project/Area Number |
15K18776
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
荻野 暁史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門畜産環境研究領域, 主任研究員 (70355098)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家畜ふん尿 / 堆肥 / 炭素貯留 / 温室効果ガス / LCA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ローザムステッドカーボン (RothC)モデルを用いた土壌炭素量変化の予測から堆肥等家畜ふん尿由来肥料の炭素貯留効果を明らかにすると共に、適切な評価範囲を設定することで、ふん尿肥料の環境負荷低減効果を定量的に明示しその利用促進に資することを目的とする。 本年度は、炭素貯留効果等、ふん尿肥料利用に関する環境への影響の解明に着手した。RothCモデルには家畜ふん用の初期パラメ-タが設定されているが、実際には畜種やふん尿処理方法により、ふん尿肥料の施用後の土壌中における分解性は異なると考えられる。そこで、RothCモデルを用いた土壌炭素量変化シミュレーションにふん尿肥料の分解性の違いを反映させることができるかどうか検討を行った。その結果、繊維成分含量を用いて分解性に関するパラメ-タを設定することが可能と考えられた。この結果に基づき、全国の農家や堆肥センター、試験場からのふん尿肥料サンプルの収集とその分析を進めた。現在、畜種等の要因による成分含量の差異を解析しているところである。続いて、ふん尿肥料製造すなわちふん尿処理プロセスからの環境負荷をどのように評価に含めるか、適切な評価範囲の設定方法を検討した。その結果、ふん尿処理の環境負荷を主産物である畜産物と副産物であるふん尿肥料の間で按分することを回避するため、畜産と耕種の両方を一つのシステムとして評価する (システム拡張)ことが有効であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ふん尿肥料利用に関する環境への影響の解明に関して、畜種やふん尿処理方法により分解性の違いを考慮した炭素貯留効果について検討を進めるなど、おおむね計画どおりに進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、ふん尿肥料サンプルの収集とその分析を行い、畜種等の要因による成分含量の差異の解析を進める。また、ふん尿処理プロセスからの環境負荷をどのように評価に含めるかに関する適切な評価範囲 (システム境界)の設定方法について、設定したシステム境界に基づき実際に解析を実施し、その有効性を確認する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額206,400円は、研究費を効率的に使用したことおよび現地調査用旅費の使用が少額に留まったことによる残額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題の推進のため、次年度使用額は次年度に請求する研究費と合わせて交付申請時の計画どおり使用する。
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Research Products
(1 results)