2015 Fiscal Year Research-status Report
尿中exosome RNAsに着目した薬剤性腎障害診断マーカーの探索研究
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15K18784
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
園田 紘子 宮崎大学, 農学部, 助教 (60608272)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 尿中exosome RNAs / バイオマーカー / 薬剤性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は尿中に排泄される小胞であるexosomeに含まれるmRNAおよびmicro RNA (RNAs)に着目し、腎障害バイオマーカーを探索しようとするものである。実施計画は、尿中exosomeRNAsの抽出方法の検討を行った後、尿細管各部位を特異的に傷害する薬剤を投与したラットモデルを用いて腎障害バイオマーカーを探索する予定である。当該年度は、尿中exosome RNAsの抽出方法についての検討を行った。ラットから6時間の蓄尿を行い、尿量は尿中クレアチニンで補正した(n = 12)。尿中exosome RNAsの抽出方法は、以下の二種類の方法を比較した。(A)段階遠心法によってexosomeをペレットとして分離し、QIAGEN社のmiRNeasy kitの遠心カラムで抽出する方法。(B)Norgen社の Urine exosome RNA isolation kitを用い、尿中にexosomeを吸着するビーズを加え撹拌し、それらのビーズから遠心カラムによってRNAsを溶出する方法。各サンプルのRNA濃度を吸光度計によって測定したところ、総RNA収量は平均値±標準誤差で、A法では530.9 ± 122.2 ng、B法では410.0 ± 82.1 ngとなった。また、バイオアナライザーによってRNAの質を観察したところ、A法ではリボソームRNAのピークはほとんど見られなかったのに対し、B法でははっきりとリボソームRNAのコンタミネーションがみられるサンプルがあった。これはB法では、尿沈渣を除く行程以外に、exosomeよりも大きい夾雑物を除く行程がないのに対し、A法では段階遠心法によって純度の高いexosome分離ができていることによると考えられる。以上の検討から、A法の方が高純度かつ収量の高い尿中exosome RNAsの抽出に適していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に尿中exosome RNAsの抽出方法の検討が終了した。現在、次の段階である薬剤性腎障害モデルラットを用いた検討に着手し始めており、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に尿中exosome RNAsの抽出方法の検討が終了したため、今後は薬剤性腎障害モデルラットを用いた検討を行っていく。ラットモデルとしては、糸球体足細胞を障害したpuromycin性ネフローゼ症候群ラットモデル、糸球体メサンギウム細胞を障害した抗Thy1抗体腎炎ラットモデル、近位尿細管を障害したcisplatin性腎障害ラットモデル、そして遠位尿細管を障害したamphotericin B性腎障害ラットモデルの4種類を用いる。これらのモデルラットから尿を採材し、平成27年度に検討した抽出方法で、尿exosome RNAsを抽出する。尿中exosomeに含まれるmRNAに関しては各部位に特異的に発現しているタンパク質のmRNAに着目して逆転写PCRを行う。また、micro RNAに関してはPCRアレイによって網羅的にバイオマーカー探索を行っていく。
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