2015 Fiscal Year Research-status Report
非レトロウイルス性内在性ウイルスによる同種ウイルス感染阻害機構解明と治療への応用
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15K18787
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
藤野 寛 麻布大学, 獣医学部, 助教 (40712617)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ボルナウイルス / 非レトロウイルス性内在性ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非レトロウイルス性内在性ウイルスによる同種ウイルス感染阻害機構の解明及びその応用を目指している。ヒトをはじめとする動物のゲノムには多くのレトロトランスポゾンや内在性レトロウイルスといったウイルス由来の配列が存在する。これらの内在性ウイルス因子は逆転写酵素を持つウイルス感染の痕跡であり、逆転写酵素を持たないRNAウイルスは内在化しないと考えられてきた。ところが、ボルナウイルスが哺乳動物のゲノムに組み込まれている事が発見されて以来、フィロウイルス等の非レトロウイルス性の内在性ウイルス因子が複数報告されている。ボルナウイルスのN遺伝子が内在化したEBLN(Endogenous Bornavirus-like N element)はヒトを含む多くの哺乳類に発見されている。これまでの研究により、ジュウサンセンジリス由来のEBLN(itEBLN)はボルナ病ウイルス(BDV)の感染を阻害することが判明していが、その詳細な機序は明らかとなっていない。27年度は研究計画に則りウイルスの結合するタンパク質の決定、及びその結合領域の同定のため実験を実施した。BDVタンパク質との結合を免疫沈降法により確認したところ、itEBLNはBDVの核タンパク質であるNタンパク質とリン酸化タンパク質であるPタンパク質のどちらとも結合していることが判明した。また、蛍光抗体法により細胞内局在を確認したところ、itEBLNとPを同時に細胞に強制発現させると細胞質及び核内にドット状の構造物を作ることが判明した。これらの結果から、itEBLNはゲノムを含まないウイルス構造物を作ることで、ウイルスの転写複製を抑制している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度は研究計画にしたがってitEBLNと相互作用するタンパク質の探索及び、それらの局在を解析した。またBDV感染を抑制するドメインの解析のため、itEBLNの変異体を作成し結合領域を決定する予定であったが、作成に時間がかかってしまった。現在変異体の一部は作成できているため、それらを用いて結合領域の同定を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は前年度に継続してitEBLNとウイルスタンパク質との結合領域の決定を行い、続いて研究計画に従ってitEBLNによる感染抑制機序の解明及びTat融合itEBLNによるBDV感染抑制を評価する。
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Causes of Carryover |
必要な試薬の納品が遅れたためキャンセル扱いとし、次年度使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要な試薬の購入に当てる。
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