2016 Fiscal Year Research-status Report
α2アドレナリン受容体作動薬が腎機能に及ぼす影響に関する基礎的・臨床的研究
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15K18794
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村端 悠介 鳥取大学, 農学部, 助教 (30734743)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | α2アドレナリン受容体作動薬 / デクスメデトミジン / レミフェンタニル / セボフルラン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、昨年実施したα2アドレナリン受容体作動薬であるデクスメデトミジンと、オピオイドであるレミフェンタニルの併用持続静脈内投与による、セボフルランの最小肺胞内濃度(MAC)への効果の検討を継続し、レミフェンタニル単独での効果及び取得したデータの解析を行った。その結果、デクスメデトミジンとレミフェンタニルの併用による相互作用は、デクスメデトミジン単独、レミフェンタニル単独と比較し、MACの減少効果を増強し相乗効果を示すものの、投与量の増加による天井効果が認められた。一方、循環に対するデクスメデトミジンとレミフェンタニルの相互作用は、デクスメデトミジンの併用により心拍数の低下と血圧の上昇が増強されることが明らかとなった。 次に、セボフルラン、レミフェンタニル麻酔下でのデクスメデトミジン持続静脈内投与が、心機能及び腎機能に与える影響を明らかにする目的で、前の研究から算出したMACの結果を基に、麻酔深度が一定となるようセボフルランの投与量を調節し、測定を実施した。その結果、セボフルラン、レミフェンタニル麻酔に対して、デクスメデトミジン持続静脈内投与は、心拍数の減少と心拍出量の減少が認められるものの、臨床的に許容される範囲であることが示された。一方、尿量及び尿比重に顕著な変動は認められなかった。 以上の結果を踏まえ、現在、健康な臨床症例の不妊手術における、セボフルラン、レミフェンタニル麻酔下でのデクスメデトミジン持続静脈内投与の影響を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年の研究により、イヌにおけるα2アドレナリン受容体作動薬であるデクスメデトミジンとオピオイドであるレミフェンタニルの持続静脈内投与における相互作用が明らかとなった。また、外科手術を想定した状況での循環機能及び腎機能に及ぼす影響の検討を行っており、実際の外科手術時における臨床症例での検討を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年に採取したサンプルの解析を実施し、吸入麻酔下でのデクスメデトミジンの腎機能及び内分泌系への影響の詳細をレミフェンタニルとの併用効果を踏まえ明らかにする。加えて、本年から開始した臨床例での検討を継続し、適応症例の拡大と更なるデータの蓄積を行う。
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