2016 Fiscal Year Research-status Report
放射線感受性関連分子のジェネティックおよびエピジェネティックな制御機構の解明
Project/Area Number |
15K18797
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
藤原 亜紀 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (40709755)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リンパ腫 / 猫 / 化学療法 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度にはは動物由来細胞から樹立されたネコリンパ腫細胞株5種に対しX線照射を行い、放射線感受性株と抵抗株を決定したが、平成28年度は化学療法に対する感受性試験も追加で実施した。その理由としては、対象としている鼻腔内リンパ腫の猫において放射線抵抗性の症例は、追加治療として実施する化学療法にも抵抗性であり、早期に死亡する傾向が認められるためであった。化学療法に対する感受性試験には、放射線感受性試験と同様の5種のネコリンパ腫細胞株を用い、実際に臨床現場においてネコ鼻腔内リンパ腫に対して使用する抗癌剤を6種用いて検討した。その結果、放射線抵抗性であった細胞株は必ずしも化学療法抵抗性ではなく、放射線感受性試験と化学療法感受性試験の結果は必ずしも一致しなかった。これらの結果から、放射線および化学療法それぞれの抵抗性機構にはさまざまな因子が関与していることが示唆された。 またすでに予後が判明しているネコ鼻腔内リンパ腫症例由来の腫瘍組織を用いたトランスクリプトーム解析も実施した。放射線治療抵抗性である短期生存群と、放射線治療感受性である長期生存群において発現に差が認められる、放射線感受性に関連する因子を解析中である。平成29年度は得られた結果をもとに、ネコ鼻腔内リンパ腫症例由来の腫瘍細胞において特定の因子の発現差があるかどうかの大規模検討およびその差がどのような機構により生じているかを検討して行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は放射線に対する感受性に関する因子のみ検討する予定であったが、実際の臨床現場では放射線抵抗性の症例には化学療法を併用することが多いため、予後に影響するため化学療法に対する感受性試験も追加で実施した。またトランスクリプトーム解析においては、機械の故障等のトラブルから実施が大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
機械トラブルに関して万一治らなかった場合は、大規模解析ではなく放射線や化学療法感受性に可能性のある因子をそれぞれ検討する方法で代替する予定である。また実際の複数症例を用いる検討においては、予後が判明している症例がすでに30症例以上集まっているため、トランスクリプトーム解析における結果が出たらそちらの解析を開始する。
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Causes of Carryover |
今年度はトランスクリプトーム解析の機械故障により解析が進まなかったため、実際の症例組織を用いた研究は実施できなかった。そのため予定よりも予算の使用が遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
機械の故障が解決後は次年度に予定通りの症例組織の解析を実施する予定である。また予定外に機械が作動しなかった場合は別の代替案があり、そちらで研究を遂行するため次年度に使用予定である。
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Research Products
(4 results)