2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of supply system of hormone-producing cells by genetic tracking of adult pituitary stem/progenitor cells
Project/Area Number |
15K18801
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
樋口 雅司 鳥取大学, 農学部, 講師 (70614791)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 下垂体 / 幹・前駆細胞 / 発生 / 分化 / ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、動物の生命活動を制御するホルモンの合成・分泌器官である下垂体の細胞供給システムを解明することを目的とし、【成体に存在する下垂体幹・前駆細胞の起源の探索】、および、【下垂体幹細胞が分化してホルモン産生細胞を供給するシステムの解明】を目指した。最終年度は後者への寄与が予想される因子として水チャネル分子アクアポリン(AQP4)に注目して下垂体幹細胞における発現を明らかにし、その機能を推定した。また、研究期間全体では以下のような成果が得られた。 (1)神経堤由来細胞を標識できるマウス(P0-Cre/EGFPマウス)を用いた追跡実験により、P0-EGFP陽性細胞が胎仔期下垂体に侵入してホルモン産生細胞へと分化すること、つまり神経堤由来細胞が下垂体に定着して幹・前駆細胞になることを明らかにした。 (2)ラット下垂体には幹細胞が生涯に渡って維持されているニッチと呼ばれる領域が2つ存在する。本研究では、その内下垂体の前葉実質層に存在する幹細胞ニッチの分離に成功し、その構成細胞のホルモン産生細胞への分化能を証明した。 (3)ホルモン産生細胞の供給機構の解明には、幹細胞で発現する因子を同定し、その機能を明らかにする必要がある。そこで、その候補としてNeuronatinとAQP4の解析を行ったところ、Neuronatinは分化過程で、AQP4は幹細胞ニッチで特徴的に発現することが明らかになった。 (4)分化機構の詳細を知るためには継続的に利用できる下垂体幹細胞株が不可欠である。そこで、以前に幹細胞株の候補として選抜したTpit/F1細胞の分化誘導実験を行った。その結果、Tpit/F1細胞は成長ホルモン産生細胞への分化能を持つこと、つまり下垂体幹・前駆細胞としての性質を持つことが明らかになった。
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