2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on improvement of cryotolerance in bovine in vitro fertilized embryos by the regulation of aquaporin expression
Project/Area Number |
15K18805
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
藤井 貴志 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部畜産試験場, 研究職員 (60609105)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウシ / 体外受精 / 凍結保存 / 耐凍性 / アクアポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウシ初期胚におけるアクアポリン(AQP)発現と耐凍性との関係を解明することを目的とした。まず、水および耐凍剤の両方を透過させるAQP3、AQP7、AQP9およびAQP10のウシ初期胚におけるmRNAまたはタンパク質発現を解析した。AQP3およびAQP7mRNAおよびタンパク質は、体外成熟卵子および体外受精由来の2細胞期から拡張胚盤胞期の全てのステージの胚で発現していた。一方、AQP9mRNAは、卵子から初期胚盤胞期まで発現しており、AQP10mRNAは全てのステージで検出されなかった。体外受精由来の胚盤胞期胚におけるAQP3mRNA発現量は、体内受精由来胚と比較して有意に低かった。次に、RNA干渉法によるAQP3発現抑制がウシ体外受精胚の初期発生および耐凍性に及ぼす影響について検討した。AQP3siRNAの注入により、体外受精後5日目の後期桑実期胚および受精後7日目の胚盤胞期胚におけるAQP3mRNAまたはタンパク質発現量は低下したが、初期発生およびガラス化保存後の生存性に影響を及ぼさなかった。最終年度は、AQP3およびAQP7の人為的な発現促進が、ウシ体外受精胚の緩慢凍結およびガラス化保存後の生存性に及ぼす影響について検討した。スクロース添加高浸透圧培地で体外受精由来ウシ拡張胚盤胞期胚を一定時間培養(高浸透圧処理)すると、無処理の対照区と比較し、AQP3およびAQP7mRNA発現量が有意に増加した。高浸透圧処理したウシ体外受精胚の緩慢凍結およびガラス化保存後の死細胞率は、対照区と比較し有意に低く、さらに緩慢凍結保存においては、融解後の透明帯からの脱出率が対照区と比較して有意に高かった。以上の結果から、AQP3およびAQP7発現量の多寡がウシ初期胚の耐凍性と関連している可能性が示され、AQP発現制御によりウシ体外受精胚の耐凍性を向上できる可能性が示された。
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