2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18815
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
大久保 卓 国立研究開発法人 農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (70749275)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アンモニア酸化細菌 / 競合的排除 |
Outline of Annual Research Achievements |
アンモニア酸化細菌の競合実験を行うために、連続培養系の構築と培養液中の菌体数を計測する方法や個体群データの解析手法の検討を行った。 連続培養系の構築:液体培地と固相培地での連続培養系の検討を行った。液体培養系は、ジャーファーメンターをポンプやpHなどのセンサーに接続し、連続培養可能な装置を作製した。固相培養系は、ガラスビーズ表面での培養法を検討した。ポンプを接続したカラムにガラスビーズを充填し、液体培地を連続的に流すことで、固相表面に付着した細菌を連続的に培養することを可能にした。両装置を用い、アンモニア酸化細菌を培養し、細菌が定着、増殖することを確認した。細菌の接種方法、培地の流速、液体培地やガラスビースのサンプリング方法、培養期間を検討した。 菌体計測法:サンプリングした液体、ガラスビーズからDNAを抽出し、16S rRNA遺伝子の特異的領域を用いて定量PCR法で計測する方法を検討した。 バイオフィルムの測定:土壌由来のアンモニア酸化細菌を用い、回分培養での培養容器の壁面へのバイオフィルム形成量を測定した。バイオフィルムの形成は観察されたが、形成量は試験した菌株間では、統計的に有意な差異は得られなかった。 データ解析手法の検討:統計ソフトRを用いて、ロトカ・ボルテラモデルを模した方法で、細菌の増殖速度などの情報から個体数の推移を推定する方法を検討した。過去の知見からも、液体中での菌体数は単純なロトカ・ボルテラモデルでほぼ記述できると推測される。固相表面の予測モデルは、次年度検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機器の不具合等があり、実験装置の構築に想定以上に時間を要した。実験系の構築は、ほぼ完了したため、次年度はデータ取得に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した培養系を用いて、液体培地、固相培地で複数菌株のアンモニア酸化細菌を共培養し、各菌株の菌数の推移を測定し、競争排除が起きない条件を検討する。固相培地では、競争排除が起きないことを想定しているが、起きた場合は実際の土壌条件に近づけるために、ガラスビースの代わりにイオン交換農を持つ媒体の使用を検討する。例えば複数種類の粘土鉱物の混合物や土壌の使用を検討している。単独培養時の各 アンモニア酸化細菌の増殖特性を表すパラメータを用いて、共培養の実験結果が数理モデルで再現できるか検証し、共培養時の種間相互作用の有無を検討する。液体培養時と固相培養時の転写解析を行い、バイオフィルム形成や維持に関わる遺伝子の探索も行う。
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Causes of Carryover |
実験装置の不具合により、実験装置の構築に想定以上の時間を要し、予定していた実験試薬や受託解析費用を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験装置の構築が完了したため、測定に必要な実験試薬の購入や受託解析費用に充てる。
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