2015 Fiscal Year Research-status Report
公園緑地におけるインクリメンタル・プランニング手法の構築
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15K18816
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
武田 重昭 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (10549695)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 公園緑地 / 計画論 / インクリメンタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、公園緑地を対象に、これまでのようなマスタープラン型の計画理論から脱却し、企画構想段階から管理運営段階までの全てのプロセスを総合的に捉え、状況に応じて迅速かつ順応的に対応を図るインクリメンタルな計画手法を構築することを目的とする。 当該年度は、海外の研究事例を中心にプロセス・プランニング等の公園緑地の計画論に関する考え方や実践事例の整理を行った。特にシンガポールにおける「ガーデン・シティ」から「シティ・イン・ア・ガーデン」への緑地施策の展開について事例調査を行い、国際的な投資を引き付けるための魅力的な都市イメージを世界に向けて発信するという“対外的”なプロモーションが重視されていたものが、国民の生活環境の充実や暮らしの中での満足感の享受、シンガポールに対する誇りや愛着を高めるといった“国内向け”の目的・目標に変化してきていることを明らかにした。また、具体的な整備内容としては、都市の緑化推進や個々の公園の土地の確保に重点が置かれていたものが、既存の公園を連結するパークコネクターの導入による全土的な公園緑地のネットワークを充実・強化させることに重点が置かれ、特に住宅からのアクセス性を重視することで家を一歩出た瞬間から庭園の中にいるような感覚をつくり出すことを目指す計画に転換されていることを明らかにした。 また、公園の整備状況に係わるデータ整理においては、公園での活動内容の定量的な把握を行うためのテンプレートの整理を行った。具体的には、「公園緑地マニュアル」と「」公園管理ガイドブック」から公園整備・維持管理に関する項目を抽出し、一連の公園づくりの項目の体系化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外の研究事例を中心にプロセス・プランニング等の公園緑地の計画論に関する考え方や実践事例の整理を行った。特にシンガポールにおける「ガーデン・シティ」から「シティ・イン・ア・ガーデン」への緑地施策の展開について事例調査を行い、研究課題を明確化させるための知見を得た。 公園の整備状況に係わるデータ整理においては、まず、公園での活動内容を既往の公園緑地に関するマニュアルやガイドラインの項目から精査し、データ整理のためのテンプレートとなる活動項目の整理を行った。 これらの成果を踏まえて、各ステイクホルダーの公園整備への関わり方と公園環境の質の変化との関係性について分析するための基礎的な考察を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
各ステイクホルダーの果たす役割とそれらの連携状況を分析する。分析は人的資源や物的資源等のやり取りの状況をダイアグラムとして図化することを想定している。 また、開園後の公園環境の質に対する評価を把握するために、プログラムの参加者と非参加者のそれぞれに対して、公園環境の印象や質とともにプログラムへの満足度に関するアンケート調査を実施する。 以上の多様なステイクホルダーの役割と活動の成果の状況を踏まえ、組織形態やルールの改正や実験プログラムの実施などを行い、その影響や効果を検証する。
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Research Products
(2 results)