2016 Fiscal Year Research-status Report
公園緑地におけるインクリメンタル・プランニング手法の構築
Project/Area Number |
15K18816
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
武田 重昭 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (10549695)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 公園緑地 / 計画論 / インクリメンタル |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、神戸市をケーススタディとし、緑の基本計画の変遷を整理することで、水と緑のネットワークに求められる機能が計画年代とともにどのように変遷し、どのような具体的な空間を対象に、どのような整備戦略がとられてきたのかを明らかにすることで、状況に応じて順応的に対応を図るインクリメンタルな計画手法のあり方を探った。その結果、まず、広域レベルを見ると、1995年の阪神・淡路大震災を受けて策定された2000年計画において、市域を超えた広域レベルでの災害時の救援、復旧支援のために防災緑地拠点を連携するためのネットワーク形成が示されており、大震災後の防災の意識が強く反映されたものと考える。一方、地域レベルを見ると、神戸市の既成市街地域は1995年の都市直下型大地震である阪神・淡路大震災によって未曾有の被害を受けるが、この地域では、古くから集密な市街地が展開し、風水害や震災等の自然災害を経験してきており、経年的にネットワークを構成する具体的な空間が明示されながら、その担保手法も戦略的に展開されてきたことを明らかにすることができた。2000年計画では、既成市街地域及びその周辺地域の都市防災の観点から防災緑地軸がはじめて体系化され、2011年計画では、2000年計画で体系化された防災緑地軸は、それぞれの特性に応じて具体的な整備戦略が展開されるといった漸次的な展開を明らかにした。また、泉佐野丘陵緑地を対象としたパークマネジメントプログラムを実証実験とし、参加者へのアンケート調査を実施し、プログラム参加を通じた公園との関わり方の度合いによって、来場者の意識にどのような影響を与えているのかについての分析を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緑の基本計画をケーススタディとしたインクリメンタルな計画の展開過程を明らかにすることができた。一方、泉佐野丘陵緑地をケーススタディとした実証的なインクリメンタルプランニングの検証については、アンケートの分析や次年度の実験方法の確立が不十分な点があるため、早急な調査計画の再構築が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
泉佐野緑地での具体的な実証実験プログラムの計画を立案し、試行する。加えてその評価を行うとともにこれまでの知見の取りまとめとして、インクリメンタルな公園緑地の計画技術の構築を行う。また、2016年度に発生した熊本地震の復興過程への提言も含め、可能な限り現地への知見のフィードバックができるように情報発信に努めることとする。
|
Research Products
(1 results)