2015 Fiscal Year Research-status Report
なぜ卵母細胞の紡錘体形成チェックポイントは弱いのか?
Project/Area Number |
15K18823
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
京極 博久 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 訪問研究員 (20726038)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | SAC / 卵母細胞 / マウス / ライブセルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞には染色体分配異常を抑制する紡錘体チェックポイント(SAC)機能が備わっているが、卵母細胞ではSAC効率が非常に弱いことが知られている。卵母細胞では、細胞質が体細胞に比べて100倍以上と非常に大きいためSACに関するシグナルの拡散に時間がかかることがSAC効率の低い原因であると考えられているが、直接示した実験はない。これらの弱いSACは第一減数分裂において染色体分配異常を引き起こす要因の一つであると考えられている。 本研究では、マイクロマニピュレーションを用いて、卵母細胞のサイズを変化させライブイメージングにより観察することで、減数分裂にかかる時間を測定した。その結果、分裂後期への進行時間は細胞質量依存的に変化した。さらに、SAC Pathwayの上流因子であるMps1阻害剤のReversineで処理することで、SAC効率の変化が細胞質依存的な分裂後期への進行時間の変化を引き起こしているかを調べた。その結果、SAC効率は細胞質を大きくした卵母細胞ほど弱く、細胞質を小さくした卵母細胞ほど強いことが明らかとなった。 次にSAC効率の変化がSAC構成因子のどの分子によるものかを調べた。SAC構成因子のMad1を強制的に動原体に局在させたところ、コントロール区では分裂後期への進行が停止したのに対し、細胞質を大きくした卵母細胞では分裂後期への進行は停止しなかった。すなわち、SAC効率の変化はMad1の下流に問題があると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験はおおむね完了しFCCSについても予備的な実験は完了した。
|
Strategy for Future Research Activity |
蛍光相互相関分光法(FCCS)により、卵母細胞の大きな細胞質によりSAC効率が低くなっているメカニズムを解明する。
|
Causes of Carryover |
主にライブイメージングによる実験を行っていたため、既存の施設で可能な部分が多く、消耗品の購入しか行わなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ライブイメージングで得られたデータをウェスタンブロッティングや蛍光免疫染色などで確認していくための抗体や試薬の購入にあてる。また、胚発生用の培地作成のために風防付電子天秤を導入する予定である。
|