2015 Fiscal Year Research-status Report
単一分子でRGB発光をしめすπ共役色素分子の合成,構造,新機能の開拓
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15K18828
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
神野 伸一郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20537237)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キサンテン系色素 |
Outline of Annual Research Achievements |
一分子RGB蛍光を有する有機色素分子の創出に向けて,筆者らはアミノヘベンゾピラノキサンテン系 (ABPX) 色素と命名した色素分子の開発に取り組んでいる.今回,収率の向上とデザインに応じた蛍光団の構造改変を達成する目的で,従来法の反応機構の解明と新たな合成法の構築を行った.まずベンゾフェノン誘導体とレソルシノールとのメタンスルホン酸中での溶融加熱反応を用いた従来法において,反応基質の水酸基に対してメチル基を導入することで,ABPX の生成率が飛躍的に向上することが分かった.更に水酸基を 18O で同位体標識した反応基質を合成し,反応機構の解明を行った.その結果,キサンテン環の閉環反応は,ベンゾフェノン誘導体及び,レソルシノールのフェノール性水酸基が,メトキシ基の 根元の炭素を求核的に攻撃して,メトキシ基が脱離することで進行することを明らかとした.また水酸基へのメチル基の導入は,キサンテン環の閉環反応による Rhodols の生成を抑制することで ABPX の収率を向上させていることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回,従来法の反応機構の解明とその知見に基づいて,新たなABPXの製造法の開発を達成したことから高収率で化合物の提供が可能となった.更にキサンテン環部位が非対称構造を有する化合物の製造法にも繋がった.今後,合成法の最適化を更に行うことで様々な誘導体化が可能となる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた知見をもとに,非対称構造のキサンテン環骨格を有する化合物のデザインに向けて,基質の種類,試薬の種類 (プロトン酸,ルイス酸の種類)並びに,反応溶媒,反応温度,反応時間などを検討し,反応条件の最適化を行う.更に,合成した誘導体の構造と光物性の関係について明らかにする.
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Causes of Carryover |
当初の予定通りに前年度の研究を終えることができたが,前年度は論文報告を行わなかったため,次年度に,論文の投稿掲載料として使用する予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の計画に基づいて色素化合物の合成と光物性の解析に使用する.
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Research Products
(1 results)